阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)を舞台に熱戦が続く第107回全国高校野球選手権大会で、宮崎商は6日、島根代表の開星に延長…

 阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)を舞台に熱戦が続く第107回全国高校野球選手権大会で、宮崎商は6日、島根代表の開星に延長十回タイブレークにもつれ込んだ末に5―6で敗れた。甲子園でも終盤の粘りを披露。バックネット裏に引き上げてきた選手たちの表情からは、あと一歩届かなかった悔しさとともに、やりきった達成感が確かに伝わってきた。

 開会式翌日の初戦は、宮崎大会の決勝とそれほど変わらない時間に始まった。ただ記者が「異変」を感じたのは、試合開始から間もなくだった。

 一回表の攻撃。先頭の日高有希也選手(3年)が内野安打で出塁し、初球に二盗を狙うもタッチアウト。2番の日高佳利選手(3年)は直後に二塁打を放ち、今度は三盗を試みたがアウトだった。

 いずれもスタートはよかっただけに、2人の俊足を封じられたのが最初の異変だった。

 さらに先取点を奪われた二回裏の守備。相手先頭打者の鈍いゴロが内野安打となり、次打者のゴロは内野の失策を誘って失点につながった。宮崎大会では堅守が終盤の逆転劇を支えただけに、再び感じた異変だった。

 それでもチーム一丸となって「守備からリズムをつくって攻撃につなげる」宮崎商の持ち味は、存分に見せた。

 二回裏の3失点の直後、センター前に落ちそうになる打球に飛びついた日高佳の好捕。四回表の一時同点に追いつく攻撃は、三回裏の守備の併殺プレーの直後だった。

 そして九回表の粘り。先頭の日高有が「どんな形でもつなぐ」と四球を選び、日高佳の鋭い打球は適時三塁打に、そして水谷友哉主将(3年)の同点適時打。甲子園の大観衆をわかせた。

 昨夏の新チーム結成から、選手たちは「甲子園で勝つ」という目標を明確にし、劣勢を想定した守備練習や徹底した体づくりを乗り越え、「驚異の粘り」「逆転の宮商」と言われるまでに成長した。この大舞台の一戦でも、勝利は目前に迫っていたはずだ。

 記録を見ると、この試合は3失策。宮崎大会5試合の計4失策とは差があった。その差は何から生まれるのか。白球の転がり方や見え方か、経験か、球場全体が盛り上がるあの雰囲気か。

 「いつも通りのプレー」を阻む要因を突き詰めることから、勝つチームへの「あと一歩」は始まるかもしれない。いまはただ、全力を尽くした選手らチームの一人ひとりに、拍手を送りたい。(奥正光)