名馬にして名種牡馬のディープインパクトだが、言うまでもなく産駒の主戦場は芝である。JRA重賞296勝のうち、ダートは…

 名馬にして名種牡馬のディープインパクトだが、言うまでもなく産駒の主戦場は芝である。JRA重賞296勝のうち、ダートは僅かに2勝のみ。そんな中、今回はあえてボレアスがディープ産駒のJRAダート重賞初制覇を果たした11年のレパードSを振り返る。

 ボレアスは父ディープインパクト、母クロウキャニオン、母の父フレンチデピュティの血統。祖母のクロカミは97年の京王杯オータムHと府中牝馬Sの覇者だった。2歳秋に栗東・吉田直弘厩舎からデビュー。3戦目から未勝利、樅の木賞と連勝。3歳夏を迎えてユニコーンSで3着、ジャパンダートダービーで2着に健闘すると、今度こそ重賞初制覇を果たすべく、レパードSに参戦した。

 単勝2.9倍の1番人気に支持された一戦、ボレアスは後方からレースを運んだ。前有利の新潟ダートでは厳しいと思える位置取りだったが、武豊騎手は冷静だった。慌てず騒がず、勝負所でジワッと進出。直線で外から追い上げると、残り100mで先頭へ。そのまま後続を突き放すと、大接戦の2着争いを尻目に2馬身差の完勝を収めた。ディープインパクト産駒にとってはJRA重賞6勝目、ダートに限れば初のタイトル獲得だった。

 結果的にこれが最後の勝利となったボレアスだが、父に「初勝利」をプレゼントした功績は色褪せることがない。今年で17歳となったボレアスだが、乗馬クラブのクレイン東海で乗用馬として活躍中。お近くの方は是非会いに行っていただきたい。