今年の甲子園で注目左腕に挙がるのが、江藤 蓮投手(未来富山)だ。4月に行われたU-18代表候補の強化合宿で好投を見せて、…
今年の甲子園で注目左腕に挙がるのが、江藤 蓮投手(未来富山)だ。4月に行われたU-18代表候補の強化合宿で好投を見せて、評価を高めた。
180センチ83キロとがっしりした体型から最速145キロの速球、切れ味鋭い変化球で打者を翻弄する。富山大会では5試合に登板して、30回を投げ、37奪三振と投球回以上の奪三振を記録した。決勝戦では連投の影響で、7失点したため、計10失点となったが、大会通して多数の球団スカウトが視察に訪れた。
そんな江藤の投球を分析していきたい。
まず投球フォームでの特徴は、走者がいない場面でもセットポジションから始動し、二段モーション気味に右足をあげること。溜めを作って、重心移動を行い、左スリークォーター気味に腕を振っていく。無駄な力みがなく、コンパクトに体を使えているので、コントロールを乱すことがない。
ストレートは常時130キロ台後半〜140キロ台前半だが、他の投手の140キロ台と違って、非常に威力がある。簡単には前に飛ばさせない。ストレートは両サイドにも投げ分けができている。
変化球の精度も高い。130キロ近いカットボールと120キロ台前半のスライダーは左打者の外角ギリギリに決まるので、高確率で空振りを奪っている。富山大会ではタイミングを外す100キロ台のカーブや、落差が大きい120キロ台のチェンジアップで三振を奪う場面があった。
コーナーギリギリに攻めながらも、ストライク先行の投球ができる。江藤の良いところは2ストライクに追い込んでから、さらにストレート、変化球の精度が増すこと。
厳しいコースに見極めが難しい変化球を投げきることができるため、三振を量産できるのだろう。勝負勘の良さが備わっているのも魅力だ。
最速145キロだが、実際の試合を見ると、145キロにいくことはあまりなく、常時140キロ前後だ。それでもスカウトが高評価しているのは球質の良さ、投球術の上手さ、失投の少なさ、完投能力の高さがあるからだろう。
ストレートはやや球速不足なところはあるが、十分に高卒プロに行く実力が備わった左腕である。出力を高める技術的なポイントを掴めば、さらに打たれにくい投手になるのではないか。強豪と対戦する甲子園では江藤の実戦力の高さをアピールする大チャンス。チームを甲子園初勝利に導いて、自身のドラフト指名の確率を高める快投を見せることができるか注目だ。