<2025年全国高等学校野球選手権西東京大会:日大三8ー4東海大菅生>◇29日◇決勝◇明治神宮野球場「何回経験しても決勝…
<2025年全国高等学校野球選手権西東京大会:日大三8ー4東海大菅生>◇29日◇決勝◇明治神宮野球場
「何回経験しても決勝の負けは悔しいです」
開口一番、そう語った若林 弘泰監督の目はかすかに潤んでいた。
それもそのはずだ。今年の3年生はエースの上原 慎之輔投手(3年)をはじめ、主将の前田 蓮内野手(3年)、打線の軸を担ってきた小上防 登生内野手(コジョボウ・トオイ=3年)ら、下級生からチームを支えた選手が多かった。ここ2年は5回戦で敗れ、今年にかける思いも強かった。夏を前に指揮官は五厘刈りに。「勝負の年ですから」と覚悟を口にしていたことからも、その気合いが十分に伝わってきた。
いざ夏が始まると、春準優勝の勢いそのままにトーナメントを駆け上がった。だが、決勝では思うようにいかなかった。先発した上原が今大会初失点を喫し、5回6失点と準決勝までの安定感はなかった。6回からは「後手後手に回りたくなかった」と最速149キロ右腕・藤平 寛己投手(3年)を投入。野手の反撃を待ったが、8回にダメ押しの一打を許して聖地にあと一歩及ばなかった。
打線も4、5回に2点ずつを加えたが相手先発の近藤 優樹投手(3年)を打ちあぐねた。6回以降、12個アウトのうち8個がフライアウトと簡単に打ち上げてしまい、繋がりに欠けた。
「点数を取られ、打ちにいくしかなかった場面で打たされてしまった。そこは近藤くんの野球センス。彼も春は10番をつけていたと思いますが、夏に1番を掴んで、日大三を甲子園に連れていくんだって気迫を感じました」
試合後、報道陣からの質問に答えた若林監督は、終始敗戦を受け止めきれない様子だった。
「過去1、2位を争ういいチームでした。それをこういう形で負けたのは僕にとても悔しいし、申し訳ない気持ち。今日の試合に限っていえばどこで間違えたのかなって。最初から叱咤激励をしておけばよかったのかなとか。今日の敗けは考えてしまいます」
夏の決勝戦は3年ぶりだった。「あのときも粒揃いでした。今もみんな大学でみんな活躍してるくらいですから」。リベンジを期した今夏、奇しくも3年前と同じ日大三に屈した。「今回もそのときと同じ感覚というか、なんでこんな風になっちゃうんだろうなって気持ちです」と言葉をしぼりだした。
あらためて今年にかけてきた思いを聞いた。すると最後まで反省しきりにこう答えた。
「上原、前田、小上防は下級生から出ていて、今年の夏もチームを引っ張ってくれていた。もうちょっと結果が出るようにもっていけなかったかなって。まだ原因が頭で整理できていない。なんとも言えないです」
この悔しさは秋以降に持ち越しとなった。2年生でレギュラーを勝ち取った鹿倉 隆志捕手ら、経験を積んだ選手を中心にリベンジに臨む。