(27日、第107回全国高校野球選手権山口大会決勝 高川学園10―3南陽工) 狙い通りの速攻が決まるかは、4番の一振りに…

(27日、第107回全国高校野球選手権山口大会決勝 高川学園10―3南陽工)

 狙い通りの速攻が決まるかは、4番の一振りにかかっていた。

 一回表、無死満塁。高川学園の遠矢文太主将(3年)は気合を入れて、打席に立った。

 「絶対に返してやる」

 相手エースは140キロ台のストレートと切れのあるスライダーを胸元に投げ込んでくる。ボール球は見逃し、球数を投げさせて初回からプレッシャーをかけよう――。チームの戦略通りの展開だった。

 ファウルで粘り、8球目を振り抜いた。内野ゴロの間に三塁走者が生還し、大量得点の口火を切った。

 チームは昨秋の県大会を制したものの、中国地区大会は初戦で敗れ、選抜出場を逃した。目標の甲子園出場に向けて、今夏にかけてきた。

 捕手として、速球派右腕の木下瑛二投手(2年)とエース左腕の松本連太郎投手(3年)をリードし、打ってはチームトップの9打点を挙げて決勝に進んだ。

 粘る相手に流れを渡さないように、先発の木下投手と、五回途中から継投した松本投手に声をかけ続けた。

 「あとは踏ん張るだけ。焦らず、思い切って投げろ」

 この日も無安打ながら2打点を挙げて、念願の甲子園切符を手にした。主砲として、果たすべき役割は心得ている。

 「打って打って打ちまくる!」(三沢敦)