今季最終戦を勝利で締めくくった。前日の試合で相手エース・宮台から逆転勝利を収めた明大。2回戦の先発を務めた水野匡貴投手(農4=静岡)は9本の安打を許しながらも7回1失点の好投で通算6勝目を挙げた。打線は5回に河野祐斗内野手(文4=鳴門)が勝利を決定づける左前適時打を放つなど勝負強さが光った。小刻みに得点を積み重ね9安打6得点。今季8度目の二桁安打とはならなかったが、各選手がきっちりと役割を果たしての勝ち点となった。これで明大は優勝ラインの勝ち点4に乗せ、40度目のリーグ優勝へ望みをつないだ。

 

 最終カードで4年間を象徴する粘りの投球を見せた。今季第2先発として安定した活躍を期待された水野。立大2回戦で1年半ぶりの完投勝利を挙げ、完全復活したかに思われた。しかしリリーフとして登板した慶大1回戦では、延長10回に押し出しの死球を与え敗戦投手に。翌日の慶大2回戦では先発を務め、無失点に抑えるもテンポの悪い投球をしてしまい3回途中で降板。気持ちの準備ができておらず、首位攻防戦でチームに貢献することができなかった。背信の投球から空き週を挟み迎えた最終カード。「リーグ戦でユニホームを着るのは最後。悔いが残らないように投げました」(水野)。毎回のように安打を許したが、これまで培ってきた要所をしのぐ投球で一度もリードを許さなかった。特にその姿が見て取れたのが6回裏、1死満塁の場面。2本の安打と死球でこの試合一番のピンチを背負う。一塁側スタンドからの声援が一層強くなる場面で、打席には打率3割台の代打・岡(東大)。最後は144㎞の渾身(こんしん)の直球で見逃し三振に切って取った。一つ目のピンチを乗り切ったが、なおも満塁で打席には6回から登板していた相手エース・宮台。前日は齊藤大将投手(政経4=桐蔭学園)から2安打を放つなど打撃にも力がある。一打で相手に詰め寄られてしまう緊迫した場面で、もう一段階ギアを上げた。2ボール1ストライクからの4球目。外角を突いた直球を捉え、打球は左翼方向へ。快音とともに、グラウンドの選手たちとスタンドの観客が一斉に打球方向を見上げる。左翼手の添田真海外野手(法2=作新学院)が懸命に追いかけフェンスぎりぎりで捕球すると、マウンドで声を上げグラブをたたいた。絶体絶命の場面で得点を許さなかった右腕は、ラストシーズンにふさわしい投球を見せた。「最初の方はチームに迷惑を掛けたが、中盤、最後は勝利に少し貢献できたと思う」(水野)。慶大戦の悪夢を晴らすかのような108球だった。

勝負強い打撃を見せた河野

 最上級生の一打が今季を物語る。3点リードで迎えた4回裏。東大に3本の安打が飛び出し1点を失う。追い上げムードを断ち切りたい中で迎えた5回表の攻撃。四球と犠打で得点圏に走者を置き、打席には河野。「何とか流れを相手にやらないようにすぐに1点返したい」(河野)。その思いとは裏腹に、2球で追い込まれてしまう。しかしここから3番手・宮本(東大)の際どい球をしっかりと見極め、フルカウントまで持ち込んだ。投手有利の状態から五分に戻し、6球目を捉えると打球は三遊間を抜け左前へ。粘りの一打で貴重な追加点を挙げ、相手の反撃の芽を摘んだ。「あれが勝負を決めたといっても過言ではない」(中野速人主将・法4=桐光学園)。今季を通して目立った4年生の勝負強さが最終戦でもチームに勝利をもたらした。

 優勝争いは明大と慶大の2校に絞られている。勝率の差で慶大に次ぐ2位で迎えた今節。明大が東大に連勝で勝ち点を4に伸ばし、単独首位に立った。最終週の早慶戦で早大が慶大に1勝でもすれば、明大の優勝が決まる。今季リーグ戦は齊藤の完封勝利から始まり、立大1回戦での河野の決勝ソロ本塁打、水野の1年半ぶりの完投勝利など4年生の勝負強さが光った。しかしそれでも完全燃焼したとは言えない。「やり切ったとは思えていないのが正直なところだが、待つしかない」(竹村春樹内野手・政経4=浦和学院)。もう一度神宮の舞台でプレーするために。あとは運を天に任せる。

[桐山雄希]