(26日、第107回全国高校野球選手権奈良大会準決勝 天理6―4奈良大付) 奈良大付の2番手投手・上橋れい(3年)の出番…
(26日、第107回全国高校野球選手権奈良大会準決勝 天理6―4奈良大付)
奈良大付の2番手投手・上橋れい(3年)の出番は4点を奪われた一回裏2死満塁の場面でやってきた。
「準備していた」。四球で1点を失うも、次の打者を左飛で打ち取る。二回以降も内角への直球や得意のスライダーで、相手打線を抑えるたびに雄たけびを上げた。
六回裏2死一、二塁。先頭打者に本塁打を浴びて3点のリードを許し、これ以上の点は与えられない。2球で追い込み、投球フォームに入ったとき、スタンドのベンチ入りできなかった3年生や家族の顔が見えた。
「これまで支えてくれた人のために抑える」。スライダーで空振りを奪うと、七回も0点に抑えて3番手の新城楓雅(2年)に託した。
1年の冬、調子が上がらずに思い通りの投球ができない日々が続いた。「やってる意味あるのかな」。退部しようと田中一訓監督に相談すると、「誰でもそういう時期があるから、悩んでいいよ」と返され、2カ月ほど野球から離れた。
そんなとき、仲間や家族が声をかけてくれた。「このまま中途半端には終われない」。部に戻る決意を固めた。復帰後は誰よりも多く練習をこなすよう心がけた。考える時間をくれた監督には「チームに迷惑をかけたのに、迎え入れてくれた。感謝しかない」
試合が終わると、しばらく立ち上がれなかった。それでも「ベンチ外の選手も含めて全員でやり切った。悔いはない」
投球を見守った田中監督は「最高のピッチング。強気で腕を振ってくれてうれしかった」とねぎらった。(周毅愷)