(25日、第107回全国高校野球選手権愛知大会準決勝 東邦1―0中京大中京) 六回表1死一、三塁。さまざまな作戦が考え…

 (25日、第107回全国高校野球選手権愛知大会準決勝 東邦1―0中京大中京)

 六回表1死一、三塁。さまざまな作戦が考えられる場面で、中京大中京のバッテリーは「1点はOK。長打を打たれるくらいなら」と考えていた。力のある直球で押せば、最少失点で抑えられる。スクイズが適時内野安打となり先制されたが、捕手の岡部純陽主将(3年)にとっては想定内だった。

 しかし、春の県大会でも抑えられた東邦のエース久田泰心投手(3年)の投球は、想定以上だった。この回の攻撃で好機を封じられると、そのまま打線は沈黙。岡部主将も快音を響かせられず完封負けを喫した。

 主将として、連覇の重責を背負った1年だった。

 新チーム始動後、打撃で絶不調に陥った。選抜大会への出場権がかかった秋の東海大会では2試合で7打数無安打。チームも結果が出ず、自分を責めた。前主将の杉浦正悦さんに「キャプテンやめたいです」とこぼしたこともあった。

 冬にフォームを一から作り直したが、この夏もここまで打率1割台と抑えられていた。再三のピンチで踏ん張ってくれる投手陣を楽にできず、捕手として「粘っていこう」と声をかけるのが精いっぱいだった。

 試合後、「夏は勝ちがすべて。甲子園に『忘れ物』を取りに行くと決めていたのに……」と涙があふれた。

 小学生の頃から憧れた中京大中京。その日々は「しんどいことばかり」だったが、「うまくいかなくても、置かれた場所で咲くのが『中京プライド』。仲間にも恵まれて、それは果たせたのかなと思う」。(松本敏博)

■試合の経過

 ◎…1点を争う投手戦を東邦が制した。六回、朝倉のスクイズが適時内野安打となり先制。エース久田は5四死球を与えながらも要所を締め、完封した。中京大中京は田中太が最少失点に抑えて完投したが、3併殺が痛かった。