(24日、第107回全国高校野球選手権西東京大会準々決勝 日大三11―1八王子実践=6回コールド) 懐かしさと、緊張感と…

(24日、第107回全国高校野球選手権西東京大会準々決勝 日大三11―1八王子実践=6回コールド)

 懐かしさと、緊張感と。八王子実践の河本ロバート監督は、グラウンドを見渡して、こう思った。「いい球場だなあ」。神宮のグラウンドは、ドキドキして、ワクワクした。自身が高校3年だった2003年の夏以来、22年ぶりのベスト8入り。「当時、西東京(大会)は準々決勝は神宮じゃなくて。神宮が遠かったんですよね」。大学時代に何度もプレーした場所だったが、高校野球のグラウンドとして見る神宮は、格別だった。

 アメリカ人の父と、日本人の母との間に生まれた。中学まではサッカーをやっていたが、八王子実践野球部だった四つ上の兄に誘われて、高校から野球を始めた。

 「野球をやるなら投手」。ストライクはなかなか入らなかったが、1年秋には最速137キロをマーク。亜細亜大で自己最速は153キロまでに伸びた。大学卒業後は、夢だったメジャーの道を目指した。米大リーグ・ドジャースとマイナー契約を結び、4年間プレー。帰国してからは、日本の独立リーグのチームなどを渡り歩き、2019年から母校を率いる。

 この日、序盤から大量リードを許した苦しい展開だった。それでも、選手たちははつらつと、この舞台を楽しんでいた。河本監督も、いいプレーが出れば手をたたき、得点が入れば笑顔で選手を出迎えた。「いい顔で野球をやっていた。勝負の世界を、最後まで楽しんでいたように見えた」

 高校1年の夏に、先輩たちが過去最高のベスト4に進出した。当時は、スタンドからの応援。その時以来の準決勝進出を目指したが、かなわなかった。「あと二つで甲子園、というところまではいけた。また、神宮に戻ってこられるように。新しい八王子実践の歴史を、みんなと築いていきたい」。この日見た神宮の景色は、新たな一歩を踏み出す力をくれた。=神宮(野田枝里子)