第107回全国高校野球選手権大会西東京大会:国士舘5-4日大鶴ケ丘 >◇22日◇5回戦◇府中市民球場 3回戦でシード校の…
第107回全国高校野球選手権大会西東京大会:国士舘5-4日大鶴ケ丘 >◇22日◇5回戦◇府中市民球場
3回戦でシード校の国学院久我山を破った国士舘は、5回戦で再度シード校の日大鶴ケ丘と対戦した。日大鶴ケ丘には注目の左腕・住 日翔夢(3年)がいるが、この試合は背番号3の小林 駿斗(3年)が先発した。小林も投手経験は豊富だが、いかにエースの住につなぐかが、ポイントになる。一方国士舘は3回戦の国学院久我山戦で好投した左腕のエース・鎌村 曜平(3年)が先発した。
国士舘は小林を攻め、2回表と3回表に1点ずつを挙げ、3回表の途中から、早くも住が登板した。
国士舘の鎌村は粘りの投球で日大鶴ケ丘に得点を許さない。しかしボールが先行した上に、きわどい球はファウルで粘られ、投球数は増えていった。そして5回が終わった時点で、既に100球に達していた。
猛暑の中の力投。国士舘の箕野 豪監督が、「そろそろかなと思いました」と考え、投手を草島 悠人(3年)に代えたのは、当然の判断であった。鎌村は、一塁手として残した。
草島は3四死球で一死満塁のピンチを招き、鎌村が再度マウンドに上がった。「疲労はありましたが、ファーストで準備はしっかりしていました」と鎌村は言う。けれども日大鶴ケ丘にとっても勝負どころ。代打・中野 光琉外野手(3年)が初球スクイズ。これが野選となって1点返して、なお満塁。9番・住も2球目をスクイズして同点。さらに代打・大坪 廉央捕手(3年)が二塁打を放ち、2点を勝ち越す。
それでも、「気持ちで投げました」という鎌村は、7回以降は得点を許さない。
鎌村の力投は、国士舘の選手たちを奮い立たせた。8回表国士舘は安打と、2四死球で二死ながら満塁のチャンスをつかむ。打席には身長161センチと小柄な寺内 柊平内野手(2年)が入る。「ストレートの打ち損じです」と寺内が打った打球は、ライトの方向に上がって、落ちた。二死だけにスタートを切っていた3人の走者が還り、国士舘が逆転した。国士舘にとっては幸運の安打であったが、箕野監督が「真っ直ぐに振り負けなかった」と言うように、寺内もまた、気持ちで振り切ったからこその決勝打であった。
鎌村は、7、8、9回は、死球の走者を1人出しただけで奪三振5の好投であった。鎌村がこの試合で投じた球数の合計は151になる。中2日で今度は早稲田実と対戦する。まずは鎌村の疲労の具合が気になるところだが、「中2日あるので、しっかりケアして準備したい」と鎌村は言う。ノーシードながら、国学院久我山に続き日大鶴ケ丘を破った国士舘は、今大会の台風の目になっている。