(22日、第107回全国高校野球選手権東東京大会準々決勝、修徳6―3淑徳) 5点ビハインドの八回裏2死二塁のピンチ。淑徳…
(22日、第107回全国高校野球選手権東東京大会準々決勝、修徳6―3淑徳)
5点ビハインドの八回裏2死二塁のピンチ。淑徳のエース、八重尾(はえお)蓮(3年)はこの日2回目のマウンドに上がった。「楽しもうぜ」。捕手で主将の下居優斗(まさと)(同)が声をかけると、こう返した。「楽しみまくろうぜ」
4球目で内野ゴロに打ち取った。小さく2回、ガッツポーズをした。
野球は小学2年から始めたが、ずっと内野手だった。中学3年のとき投手に転向。高校入学後は体をつくろうと、おにぎりやプロテインなど1日8食を食べ続けた。1年夏に61キロだった体重は、81キロまで増加。高校入学時に120キロ程度だった直球は、最速145キロに伸びた。「気付いたら手に食べ物を持っていたけれど、球速や球威も増した」
腕の使い方を変えて、得意の直球がさらに伸びるようにもなった。20日の二松学舎大付戦では「球が走り」、9回を127球で完投勝利。「これまでやってきたことをここで出せた」
この日は直球の球速もキレも悪く、カットボールを多用。5点を追う九回表1死二、三塁のチャンスで打席が回ってくると、「味方を信じてつなごう」と打った球が左前に抜け、1点追加の適時打になった。だが、及ばなかった。
「背番号『1』をもらっているけど、今日はチームに勢いをつけられなかったので情けない」。試合後、マネジャーの佐古優奈記録員(同)が選手たちに贈った名前入りのお守りを手に、目を赤くして言葉をしぼり出した。そんな八重尾を中倉祐一監督は「うまくまとめてくれた」とねぎらった。
=神宮(武田遼)