(22日、第107回全国高校野球選手権静岡大会4回戦 掛川西0―6御殿場西) 3点を追う七回裏2死、掛川西の石川大峨選…

 (22日、第107回全国高校野球選手権静岡大会4回戦 掛川西0―6御殿場西)

 3点を追う七回裏2死、掛川西の石川大峨選手(3年)は代打で打席に向かった。身長187センチ、体重89キロ。昨夏の甲子園では7番を任され2安打2打点をあげたが、今大会は初の打席だった。「支えてくれた人たちのために」。無我夢中でバットを振り切ったが、打球は高く上がり捕邪飛に倒れた。

 1年秋からレギュラーをつかみ、3年になり、中軸としてチームの打線を牽引(けんいん)してきた。

 だが、大会直前の7月上旬、練習中に左手をけがした。骨折と分かり、試合に出られなくなる、と真っ先に思った。それでも腐らなかったのは、大石卓哉監督から「やれることをやっていこう」と声をかけられたからだ。試合中は伝令や三塁コーチなど、裏方にまわった。

 サポートに入り、仲間から励まされ、気づいたことがある。「どれだけ自分が周りに支えられて野球をやってきたか分かった」。左手の痛みはまだ残るが、テーピングを巻けばバットが振れるくらいにまで回復した。最初で最後の打席は、とにかく支えてくれた人たちへ恩返しがしたい一心で臨んだという。

 九回も三塁コーチとして必死に声を上げジェスチャーで鼓舞したが、2年連続の甲子園には届かなかった。

 それでも、学んだことは大きかった。「まずはけがを完治させる。人から支えられていることを忘れずに、プロを目指したい」(滝沢貴大)