(22日、全国高校野球選手権三重大会準々決勝 津商8―2海星) 1点リードで迎えた七回、海星のエース右腕、森部滉晟投手…

 (22日、全国高校野球選手権三重大会準々決勝 津商8―2海星)

 1点リードで迎えた七回、海星のエース右腕、森部滉晟投手(3年)は、捕手の水谷宗太主将(同)のサイン通り、内角に直球を投じる。狙い通りのコースだったが、津商の渡辺悠斗選手(同)に左翼席へ運ばれた。

 元々は内外野を守る万能型の選手だった森部投手は、2年の時に左手を骨折。「何とか戦力になりたい」と思い、今春から未経験だった投手に転向した。

 抜群の制球力を誇る森部投手の武器は右横手からの多彩な変化球。この日も直球を内外角に投げ分け、勝負どころでシンカーとスライダーを要求した水谷主将の配球はさえていた。

 ただ、七回。粘り強い投球を続けてきた森部投手の球威が落ちる。それでも要求した内角への直球を打たれた瞬間、水谷主将は「あそこを要求してしまい、本当に悪かった」と自らを責めた。

 一方、森部投手は「相手打者が上だった。配球は間違っていなかった」と悔やむ様子を見せなかった。

 「一緒に試合をしていて楽しかった」。2人は同じ言葉を口にした。短期間で信頼を育んだバッテリーの夏が終わった。(安田琢典)