(21日、第107回全国高校野球選手権大阪大会4回戦 近大付10―6大阪学院大) 六回裏、2点をリードされた場面で、近大…
(21日、第107回全国高校野球選手権大阪大会4回戦 近大付10―6大阪学院大)
六回裏、2点をリードされた場面で、近大付の谷村虎太郎選手(3年)が、代打で打席に立った。
「球もしっかり見える。絶対に打てる」
感触も良かったという当たりは右翼への適時打になり、1点差に詰め寄った。ガッツポーズをベンチに向けながら、一塁ベースに駆け込んだ。「最高だ」
小学生のころから捕手をしていたが、高校入学直後に送球が乱れるようになった。どこに投げればよいのか分からず、練習でも投げ返せない。悩んでいた2年生の夏、藤本博国(ひろくに)監督に打撃の良さを買われ、「内野手をやってみないか」と打診された。
不安もあったが、「とにかく打つしかない」と、寮の夕食後は誰よりもバットを振り、自主練習に励んだ。
結果が出ないときも、藤本監督は試合に出し続けてくれた。谷村選手は「今の自分があるのは監督のおかげ。監督を甲子園に連れて行きたい」。その思いを込め、「監督を漢に」と練習帽子のつばに書いて、試合にのぞんだ。
六回以降、近大付は10得点を挙げて昨春大阪大会を優勝した大阪学院大を破り、5回戦に駒を進めた。
6月に右ひざをけがした影響で、今大会は代打でチームに貢献すると決めている。「監督を絶対に甲子園につれて行きます」。汗をかきながら笑顔で誓った。(渡辺萌々香)