(21日、第107回全国高校野球選手権和歌山大会3回戦 智弁和歌山7―3和歌山工) 和歌山工は昨秋の新チーム結成後、練習…

(21日、第107回全国高校野球選手権和歌山大会3回戦 智弁和歌山7―3和歌山工)

 和歌山工は昨秋の新チーム結成後、練習試合も含め智弁和歌山と4回対戦し全敗。「今日こそ智弁を倒して甲子園へ行く」。大会屈指の左腕・山田竜也投手(3年)と、息ぴったりのコンビを組む主将の梶原倖成捕手(3年)が「5度目の正直」に挑んだ。

 梶原捕手は小2で野球を始めキャッチャー一筋だ。高校1年生から山田投手のボールを受けてきた。「山田の目を見るだけで、何を投げたいのか分かる。2人で一つという感じです」。中本和希監督も「2人の世界がある。そこはあまり口出ししないようにしている」と全幅の信頼を寄せる。

 「お互いの気持ちを一つにしよう」。2人で話し合って臨んだ試合。二回までに3点を奪われた。「大応援に気持ちが押され、浮いた球を狙われた」と梶原捕手。二回裏には反撃の適時二塁打も放ったが、追いつけなかった。

 試合終了後、紀三井寺で最後のキャッチボールをした2人。嗚咽(おえつ)する梶原捕手を、山田投手がしっかりと受け止めた。梶原捕手の父・和成さん(51)は「よく頑張った」と息子をねぎらった。「本当に良い仲間に恵まれた高校生活でした」。最後は吹っ切れた表情でグラウンドを後にした。(白木琢歩)