(21日、第107回全国高校野球選手権宮城大会準々決勝 仙台育英3―2東北) 東北の大場隼汰主将(3年)にとって、仙台…

 (21日、第107回全国高校野球選手権宮城大会準々決勝 仙台育英3―2東北)

 東北の大場隼汰主将(3年)にとって、仙台育英に勝つことは3年間の悲願だった。

 「打倒仙台育英」。大きく表紙に書いた自身の野球ノートには、自分やチームだけでなく、仙台育英の試合内容やベンチ入りメンバー、選手のデータなどを記した。2年春からコツコツ書きためたノートは8冊目に突入。ガムテープで1冊にまとめ、この日の試合のベンチに持ち込んだ。

 1点差で迎えた八回、代打に立った。「大場頼むぞー」。声援がベンチから聞こえてくる。「絶対に打つ」――。

 対するはずっと研究してきた仙台育英のエース吉川陽大投手(3年)。だが、今まで見たことのないほどキレのあるスライダーと球威のある直球を目の当たりにした。

 「直球に絞ろう」と狙いを定めたが、スライダーがコースに決まって「手が出なかった」。見逃し三振に終わった。

 東北は昨年と一昨年の宮城大会も仙台育英と当たり敗退。三度目の正直を目指し、吉川投手の等身大パネルをバッティングマシンに貼り、打撃練習に取り組むなど、チームで対策を重ねてきた。

 あと一歩及ばなかったが、1点差の接戦。「選手全員がこの仙台育英戦という大きな山場に向かって戦って来て、全力、ベストは出し切れた」。あふれる涙をぬぐいながら言い切った。(岸めぐみ)