(20日、第107回全国高校野球選手権東東京大会5回戦、淑徳7―4二松学舎大付) 夏がくると、高校野球っていいなあと思…
(20日、第107回全国高校野球選手権東東京大会5回戦、淑徳7―4二松学舎大付)
夏がくると、高校野球っていいなあと思う。三塁側スタンドから見慣れた母校のユニホームを見て、森宏明さん(29)はつぶやいた。
小学2年から野球を始めた。淑徳では1年からベンチ入り。2年夏は、背番号「9」をもらった。3回戦で敗退。新チームでは主将を任され、始動した矢先だった。
8月、事故にあって両足のすねを切断した。復帰したのは半年後。もう、野球にはかかわらないだろうと思っていたのに。見透かされたかのように、中倉祐一監督からこう言われた。「森の居場所は、ここだから」。3年夏の大会前、メンバー入り発表で、背番号「10」をもらった。「森のために10番をあけておいた。一緒に戦ってほしい」。最後の試合となった3回戦の舞台は神宮。試合前のシートノックでグラウンドに立った。「プレーヤーじゃないけど、また、ここに戻ってこられた。最後の夏は、みんなと戦った」。心はすっきりとしていた。
大学3年からパラノルディックスキーを始め、2022年の北京パラリンピックに出場。今は、朝日新聞社初のパラアスリートとして、仕事と両立しながら、2大会連続のパラリンピック出場を目指す。
もし、事故にあっていなかったら、どんな最後の夏を送っていただろう。エースで、4番で、主将。「どこまでいけたんだろうっていう気持ちは今でもある」。応援に駆けつけたこの日、後輩たちは強豪相手に「ジャイアントキリング」を果たした。「みんな楽しそうに野球をしていた。自分も負けられないな」。今の舞台はもっぱら冬。でもやっぱり、夏は好きだ。=大田(野田枝里子)