「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

西居 建陽 にしい・けんや
和歌山商高→中部学院大
投手・左投左打・185センチ77キロ・1996年2月5日生(21歳)

 

 貴重なサウスポーの人材だ。運命の日を1週間後に控えた段階で、10球団近くから調査書を求められている。地元・中日など中部以西の各球団や、日本ハム、巨人などのリストに名前が残っているとみられる。

 長身で、スリークォーター気味の変則左腕。本人は「腕の位置は昔から変わっていない。打者にとって打ちづらい角度かも。リーチがあり、腕が遅れて出てくる」と自らの長所を心得ている。クセのある球筋のストレートは140km/h前後で、打者の内外を突く。スライダーやツーシームも交ぜる。適度な荒れ加減も打者にとって厄介だ。

 1年前の今頃は、有望選手としてはおろか、リーグ戦のスコアボードにさえほとんど名前は挙がらなかった。リーグ戦初登板を果たしたのは3年秋。2試合で計1イニングのみのマウンドだった。
 3年秋はリーグ戦の他にもう1試合、不完全燃焼に終わった公式戦がある。神宮大会出場をかけ、愛知・北陸の代表と争う「三連盟王座決定戦」での準決勝だ。名城大を相手に9回裏、詰め寄られた場面でリリーフし、最初の球が死球。戦力としてベンチ入りしていたが、わずか1球で降板した。後続投手もリードを守れず、サヨナラ負けで全国切符を逃している。

 こうした悔しさも胸に、フォームの微調整を重ねるなどして覚醒。「しっかりトップをつくれるようになり、フォームのタイミングが合うようになった」(西居)。4年生になって社会人相手のオープン戦でも好投し、プロ入りした1年先輩・床田寛樹(広島)の後を継いでエースとなった。今秋はチームを優勝に導き、堂々の最優秀投手賞である。

 年度当初はドラフトなど思い及ばなかったが、状況は180度変わった。「リーグ戦で1戦目に先発ができるほどになるとも思えなかった。春にリーグ戦を投げ切れたのもいい経験になった。野球をやるからにはプロで」と意志を固め、吉報を待つ。

文・写真=尾関雄一朗