(19日、第107回全国高校野球選手権愛知大会4回戦 豊川10―0菊里) 0―0のまま迎えた七回表1死二、三塁。先発し…
(19日、第107回全国高校野球選手権愛知大会4回戦 豊川10―0菊里)
0―0のまま迎えた七回表1死二、三塁。先発し、豊川の打線を抑え込んでいた菊里の左腕・土屋諒太(けいた)投手(3年)が104球目を投げた瞬間、中指の血マメがつぶれた。ボールは高めに抜けて暴投となり、三塁走者が生還。47年ぶりの32強入りを支えたエースが、ついに力尽きた。
18日夕に行われた3回戦を終えたばかりで、選手たちには疲労が残っていたはずだが、土屋投手は試合前夜、竹内力哉監督に「明日は最初から自分が行くと思っています」と直訴していた。
大会前に発症した肩の痛みもあり、これまでの3試合はいずれも救援で登板。計14回3分の2を投げて24奪三振、1失点と抜群の投球で貢献し、3試合とも1点差の接戦を制してきた。春の県大会を制した相手との大一番を前に、「自分が抑えてチームを勝たせる」という思いがあった。
179センチ83キロの体格と最速144キロという速球の秘訣(ひけつ)は、高校に入ってから1日計4、5回に増やした食事だ。もともと小食だったが、学校の休み時間や練習前に「補食」をしたことで下半身が大きくなり、内角への制球にも自信がついた。
この日も内角の速球で打者の腰を引かせ、六回までゼロを刻んだ。しかし、「そこまで粘れていた分、七回の投球が悔しい」。目標だった3勝を達成したチームを、さらなる高みへ導けなかった。
今年3月にはロボットコンテストの全国大会にも出場した頭脳派。「思い通りの動きをしてくれた時が楽しい」と、卒業後は大学で工学を学びたいという。
「今まで苦しいこともあったけど、この夏は充実した2週間だった」(松本敏博)