佐藤龍世がサヨナラ打、延長10回タイブレーク制す 第48回明治神宮野球大会の出場をかけた第9回東北地区大学野球代表決定戦…
佐藤龍世がサヨナラ打、延長10回タイブレーク制す
第48回明治神宮野球大会の出場をかけた第9回東北地区大学野球代表決定戦が21日、岩手県・花巻市営球場で始まった。東北地方の大学3連盟から代表4校が出場。第2試合では6月の東北地区大学野球選手権大会優勝の東北福祉大と北東北大学野球連盟代表の富士大が対戦し、タイブレーク延長10回の末、富士大が5-4でサヨナラ勝ち。決勝進出を決めた。
富士大の執念が実った。1死満塁、選択打順で始まるタイブレークの延長10回、2点を追う富士大は3番・楠研次郎からの攻撃だった。この日は第4打席まで無安打だったが、豊田圭史監督は「うちで3年間、結果を出してきている」と信頼して送り出した。それに応えるように、楠は一二塁間を破るタイムリーヒットを放ち、同点に追いついた。東北福祉大は、この回から登板した左腕・大園祐也に代えて、鈴木天斗がマウンドへ。8回に同点ソロを放っている4番・三浦智聡は敬遠。1死満塁で5番・佐藤龍世が「(8回に)三浦さんがホームランで同点にした。4年生の執念が見えた。(10回は)三浦さんが敬遠からの自分だったので、決めてやろうと思って打席に入りました」とバッターボックスに向かった。
ボール、ファウル、ボールの後、5球連続でファウル。1ボールを挟み、2球続けてファウルにした後、内角低めの直球をすくった。粘りに粘った12球目の打球はグングンと伸びて左中間を破った。その瞬間、三塁走者がサヨナラのホームイン。「ボール球もあったんですけど、カウント3-2だったので食らいついた。フォアボールより、打って勝った方が明日(決勝)につながると思った」と、人生で最も粘った打席で見事な殊勲打だった。
6月の東北地区大学野球選手権で優勝したチームは、秋のリーグ戦の順位に関わらず、この代表決定戦の出場が決まる仕組みになっている。今年は東北福祉大が優勝したが、決勝で敗れたのが富士大だった。6回まで7-0でリードしていたが、7、8回で8点を失い、9回に同点に追いついたものの、8-8でタイブレークの延長戦へ。延長10回、両者ともに1点ずつを加えたが、延長11回に東北福祉大が勝ち越した。そのまま、9-10で敗れた富士大ナインは肩を落とし、小林遼主将はベンチで涙。富士大が11月の明治神宮大会に出場するためには、秋のリーグ戦での優勝が絶対条件になった。
決勝では仙台大と激突、豊田監督「うちは捨て身」
「7-0から(逆転負けして)3か月半。とにかく、福祉大とやるということを目標にしてきた。そして、(出場が)決まった時には絶対に勝つんだという思いで日々、全力で抜くことなく練習してきた。その練習の姿勢が最後は出たかなと思います。気持ちで最後は勝れたかなと思います」と豊田監督。小林主将によると、富士大はグラウンドのトイレに6月に敗れた時のスコアや新聞記事を貼り、悔しさを忘れないようにしてきたという。高校野球でよくある光景だけに「高校生みたいですけど」と笑いながらも「報われましたね」と安堵。「こういう場面で負けていたので、粘り勝つという雰囲気が出ていた。みんなに感謝です」と話した。
2年前の代表決定戦決勝でも富士大は東北福祉大に延長10回の末、4-5で敗れていた。その時、東北福祉大のマウンドにいたのが2年生だった鈴木。豊田監督は「1アウト満塁で長田(駿介、現4年・東北)がファーストゴロのゲッツー。その時もピッチャーが鈴木くん。いろんな思いが重なっての今日のゲームだった」と、この日にかけていたもう1つの思いも明かした。
リーグ戦終了から1か月が空いての大会だっただけに「1か月はマイナスでもあり、プラスだとも思った」と指揮官。10月上旬には1週間の振り込みと守り込みを敢行し、「調整ではなく、体を追い込んでやってきた」という。その後、関東遠征に出かけ、立教大、JX-ENEOS、JFE東日本とのオープン戦で大会に合わせてきた。
2年連続の明治神宮大会出場まであと1つ。決勝の相手は昨年と同じ仙台大だ。リーグ戦を完全優勝で勝ち上がってきただけに、「(仙台大は)勢いがある。(リーグ戦から)今日で11連勝ですからね。うちは捨て身。今日のゲームのように最後まで諦めずに全力で自分たちの野球をやるだけ」と豊田監督。小林主将も「勝てればいいので」と短い言葉に気持ちを込めた。 (高橋昌江 / Masae Takahashi)