(14日、第107回全国高校野球選手権大阪大会2回戦 大商大堺10―3羽衣学園=7回コールド) 応援中に倒れた父に、元気…
(14日、第107回全国高校野球選手権大阪大会2回戦 大商大堺10―3羽衣学園=7回コールド)
応援中に倒れた父に、元気になってもらいたい。羽衣学園の北村太一選手(3年)はその一心でプレーを続けた。
父の亮さん(59)は4月下旬、同じ高校でプレーする長男の北村選手と次男の祐樹選手(2年)の応援のため訪れた大阪府内の球場で、突然倒れた。
地面はコンクリート。頭から出血し、救急車で運ばれた。頭蓋(ずがい)骨を骨折し、一時は返事もできないほど切迫したが、手術を受けて一命を取り留めた。医師からは不整脈で倒れた可能性があると指摘された。
北村選手は「頭が真っ白になった」と当時を振り返る。野球を支えてくれた父がいなくなってしまうかもしれないと不安になった。練習後に病院に通う日々が始まった。
ベッドに横たわる亮さんに「今日はヒットを打てたよ」と話すと、亮さんはうれしそうな顔をする。早く元気になって活躍する姿を見てほしいと練習にも熱が入った。
亮さんは5月下旬に退院したが、今も通院を続ける。大阪大会は1回戦から応援に駆けつけた。
1回戦は3打数2安打と活躍したが、この日の2回戦は4打数無安打。五回には1死満塁の好機で空振り三振に終わった。「チームのみんなに申し訳なかった」
それでも、「応援に来てくれた父親に野球を見てもらえてよかった。悔いはありません」と涙は見せなかった。長男の最後の夏を見届けた亮さんは「活躍するにこしたことはないが、一生懸命さが伝わってきて、元気が出ました」とねぎらった。(西崎啓太朗)