(14日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会準々決勝 士別翔雲5―4旭川龍谷) 絶対に後ろにつなげてくれる――。九…

(14日、第107回全国高校野球選手権北北海道大会準々決勝 士別翔雲5―4旭川龍谷)

 絶対に後ろにつなげてくれる――。九回裏、1点を追う旭川龍谷のベンチ最前列。マネジャーで記録員の小玉心主将(3年)が、祈るようなしぐさをしながら、声を張り上げていた。

 試合は追いつ追われつの接戦。旭川龍谷は七回、4番の今関康敬選手(3年)が2点本塁打を放ち逆転したが、八回に3安打を浴びて再び追う展開に。九回は2死から安打が出たものの、そこまでだった。

 最後の打者が遊飛に倒れると、小玉さんは涙で顔を崩しながらベンチ前に並んだ。

 同校野球部OBの父親の影響で、幼いころから旭川スタルヒン球場に来るうちに野球が好きになった。小学校で野球を始め、中学までプレーしていた。旭川龍谷ではマネジャーとして入部。昨秋、新チームになった際、視野が広く、リーダーシップがあると主将に選ばれた。

 ゲームキャプテンの藤原佑磨選手(3年)とともに、チームをまとめてきた。選手への声かけ、練習用具の準備、熱中症対策。裏方も担いつつ8強まで導いた。

 「スタンドも含めた部員全員がベストを尽くして戦いぬけた。このチームで記録員として、こんないい試合を見せてもらって、本当によかった。至らない主将だったけど、みんなついてきてくれた」。グラウンドには立たなかったが最前列で戦い抜いた主将は、いつまでも涙が止まらなかった。(中沢滋人)