<2025年全国高等学校野球選手権埼玉大会:昌平 9x-0 川口( 7回コールド)>◇13日◇2回戦◇川口市営球場 高校…

<2025年全国高等学校野球選手権埼玉大会:昌平 9x-0 川口( 7回コールド)>◇13日◇2回戦◇川口市営球場

 高校通算48本塁打のプロ注目・櫻井 ユウヤ(3年)がこれ以上ないスタートを切った。

 櫻井を擁し昨夏準優勝の強豪・昌平vs川口との一戦。この代の昌平は昨秋ベスト16、今春1回戦敗退とこれまでは結果が出ていないだけに今大会に賭ける想いは強い。

 先発は昌平が140km中盤の速球が武器の速球派右腕・窪田 竣介(3年)、一方の川口は昨秋の大宮北戦同様に背番号5の武藤柚樹(2年)が登板し試合が始まる。

 先制したのは昌平。

 初回先頭の嶋田大晋(3年)が右中間へ三塁打を放つと続く田中彪真(3年)もレフト前適時打を放ち、あっさりと1点を先制する。その後二死無走者となり櫻井が第1打席を迎える。

「打った球はスライダー。ちょっと迷いがあって当たりは良くなかった」(櫻井)

そうだが、スライダーを捉え、ライト越えの二塁打を放つ。

 櫻井の第2打席は3回裏、3番・諏江 武尊(3年)が左中間へ三塁打を放ち無死三塁で迎える。

 「低めの直球。あの場面は外野フライを打ちに行く練習をしていたのできっちり打てた。しっかりと振り切れば外野に飛んでいくと思っていたので」

と、ライトへきっちりと犠飛を放ち2点目を応援席を煽る。

 これで昌平打線に火がついたか、5番・大倉巧翔(2年)、6番・中島航作(2年)、7番・斎藤塁(2年)の3長短打に相手のミスも重なり2点を追加すると、さらに窪田、嶋田の連打で1点を加えこの回一挙4点を奪い5点差をつけ試合の流れを完全に掴む。

 圧巻だったのは4回裏、櫻井の第3打席。

「やっぱり外だったんで外を打ちに行く打撃をした。少し打球が上がらなかった」

と、火を噴くような打球はセンターの頭を越しワンバウンドでフェンスに当たる二塁打を放つ。続く大倉の適時打で1点を追加すると、6回裏の最終打席は無死一、三塁でまさかの申告敬遠。

 結局、無死満塁のチャンスを生かし、大倉の2点適時打と齋藤の犠飛でさらに3点を追加した昌平。

 投げては先発・窪田は悪いながらも6回6奪三振無失点でまとめると、最終回は左腕・木下雅斗(3年)、佐藤佑輝(2年)が抑える。

 結局、昌平が6回コールドで川口を下し初戦を突破した。

昌平の岩崎優一監督はチームと櫻井の成長をたたえた。

「難しい初戦をきっちり勝ち、選手の成長を感じた。櫻井は秋・春と悔しい思いを一番したと思うので、この大会に賭ける想いは人一倍あるんじゃないかな。その中で力を発揮したなと思います。ちゃんとキャプテンとして成長した。これまではバッティングでガンガン行くだけでしたが、ベンチの中でも精神的支柱になっている。皆が櫻井背中を見ているのでそんな中応えてくれたなっていう印象です。決して声掛けで引っ張るタイプではないが、プレーや表情でキャプテンシーは発揮できている。技術的にもこれまでは何でもかんでも打つ打者でセンスや能力で対応していた感じでしたが、今は球種などを考えながら確率が高く結果の出やすい球をスイングしている」

 岩崎監督がチームと櫻井の成長に目を細める。櫻井も旧チームの時はレフトスタンドへの意識が高かったが、現在は

「ライト方向を意識し回転したらレフトへ」(櫻井)

と、打率を残しやすいスイングアプローチに変わっている。また櫻井の特徴である速いスイングスピードは、ミズノ社のブラストの計測によると、高校生では上位の116キロだという。

「春の負けが大きくて。『キャプテンとしてチームを背負って打つというより、自分ができることをやり切る考えのほうが結果が出るのでは』と岩崎先生から言われて、それを実践してから結果が出るようになった。当然打ちたい気持ちはあるんですが、みんなが打ってくれるって信用・信頼しているので敬遠も気にしない。今日も実際打ってくれたので。主将としてより、返す仕事や長打でチャンスメイクなど4番打者としての仕事をきっちりして甲子園に行きたい」

と、精神面でも成長の跡を見せている櫻井の課題は守備か。この日も一つ悪送球があったが、

「打撃の調子が良かった日は昨秋からずっと守備をやってきた」

だけに反省しきりであった。

 今年の昌平は決して、旧チームの大槻、山根、櫻井、渡辺、園田と、どこからでも本塁打が飛び出すような強力打線ではない。だが、嶋田、櫻井、齋藤には雰囲気があり、その他の打者も小技やエンドランも絡められツボに来れば長打もある打者が揃っている。今後も櫻井が勝負してもらえない場面が考えられるだけにキーになるのは櫻井の後を打つ5番打者になりそうだ。

 投手陣はこの日登板した3人はもちろん、何と言っても最速140km越えの194センチ右腕・東川 一真(3年)がチーム浮沈の鍵を握る。

 順当に行くと4回戦で花咲徳栄vs昌平という昨夏の決勝カードが実現する。

 岩崎監督はあくまで一戦一戦を強調したが、

「昨夏の決勝は映像を見返しても後悔ばかり。もう何回も負けられない」

と、リベンジに燃えている。