(14日、第107回全国高校野球選手権奈良大会2回戦 智弁学園2―0高田商) 高田商の投手、田宮永遠(とわ)(3年)は投…

(14日、第107回全国高校野球選手権奈良大会2回戦 智弁学園2―0高田商)

 高田商の投手、田宮永遠(とわ)(3年)は投球前、ワクワクを抑えきれず、笑みがこぼれた。球場の中心で聞こえてくる応援の熱量が練習試合とはまるで違ったからだ。

 目の前にいる相手は、昨夏の覇者、智弁学園。田宮にとって「憧れの存在」だった。

 野球を始めた頃の2016年春、選抜大会で優勝まで駆け上がった姿に夢中になった。その時のエース村上頌樹(現・阪神タイガース)を追いかけて投手の道に進んだ。

 小学4年の頃、父の転勤で香川県に引っ越したが、奈良県で高校野球をするという小学生からの思いを捨てられず、祖父母の家から自転車で10分の高田商を選んだ。1年夏の決勝、相手はあの智弁学園。スタンドで応援していた田宮は「いつかあのマウンドに立つ」と心に誓った。

 あれから2年、初戦でその夢が実現した。

 「上から目線、強気で」。その言葉通り、足の上げ方やクイックモーションを自在に操り、相手のタイミングを外す。三回、五回と長打で1点ずつ失うも、後続を打ち取り大量失点を許さない。

 「これ以上点をやれない。勝負どき」と語った六回裏2死三塁の場面は、直球で空振り三振に抑えた。

 「テンポ良く、長いイニングを投げて接戦に持ち込むのが自分の役割」と試合前に話していた通りの展開を作り上げた。それでも、「初球から振ってくるし、変化球の甘い球は見逃さない」と智弁学園の迫力を肌で感じた。

 試合後、香川から応援に訪れた父・裕之さんのもとに駆け寄り、互いに抱擁。「よくやったな」「やり切ったわ」。短い言葉に、奈良県での3年間が集約されていた。(周毅愷)