(14日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会2回戦 白陵0―10市西宮) 劣勢でも笑顔で声を出し続けた。届きそうにな…
(14日、第107回全国高校野球選手権兵庫大会2回戦 白陵0―10市西宮)
劣勢でも笑顔で声を出し続けた。届きそうになくても打球に飛びついた。ユニホームがドロドロになるまで。それは見せたい姿があったから。
「清美を甲子園へ」
白陵の小柳朝陽選手(3年)は、帽子のつばにそう書き記した。家庭の事情で小学2年の頃から祖母の清美さん(72)と祖父に育てられた。
野球は小学3年の頃に始めた。清美さんはどれだけ忙しくても、ユニホームを洗濯して、毎朝おにぎりを作ってくれた。「親友」のような存在で、何でも話せて、いつも背中を押してくれる。
中学時代にけがに悩み、一度は野球をやめた。だが高校に入り、やっぱり高校野球をやりたいと思った。清美さんに相談すると、「洗濯イヤやなー」と笑いながら、「いいんじゃない」と賛成してくれた。
その時、帽子に清美さんの名前を書いた。「自分の夢だった甲子園に、祖母と一緒にいきたい」
清美さんはいつものように、この日も応援に来てくれた。コールド負けだったが、「元気を出してチームを引っ張る姿を見せられたと思う」。
試合後、いつも照れくさくて、言えなかった言葉を伝えた。「勝てなくてごめん。支えてくれてありがとう」(原晟也)