(14日、第107回全国高校野球選手権奈良大会2回戦 智弁学園2―0高田商) 「全然、ダメやな」 勝ったにもかかわらず、…

(14日、第107回全国高校野球選手権奈良大会2回戦 智弁学園2―0高田商)

 「全然、ダメやな」

 勝ったにもかかわらず、智弁学園の選手たちは反省の言葉が口をついた。

 甲子園出場経験のある高田商に競り勝ち、初戦を突破した。三回に中道優斗(3年)、五回に近藤大輝(同)と、昨夏の全国選手権8強入りに貢献した2選手が適時二塁打を放ち、2得点した。

 しかし、奪われたアウトのうち半数以上は飛球。四回の満塁機も遊飛に倒れて無得点だった。主将の少路慶斗(同)は「打線の怖さがない。うちが勝っている感じはしなかった」。

 選手たちが厳しい目を向けるのには、昨夏からの歩みが理由にある。

 全国選手権準々決勝では、後に大会を制する京都国際に零封負けした。当時も飛球のアウトが2桁を数え、相手打線とは対照的だった。小坂将商監督は「これでは勝てないと京都国際に教えてもらった」。

 昨秋は奈良大会でしのぎを削る天理に敗れ、春は3回戦で公立校の畝傍(うねび)にコールド負けを喫した。練習には熱が入り、三塁走者がいると想定した打撃練習では大振りせず、適時打しか狙わないようになった。

 小坂監督は「夏に勝たなあかんというプレッシャーは自分が一番感じている」。選手も同じ思いだからこそ、課題を克服できていない悔しさが募った。

 少路の帽子のつばには「下剋上(げこくじょう)」と記してある。「春に苦しい思いをして、必死でやってきた。もっと試合でやらないといけない」。昨夏代表に慢心はない。(平田瑛美)