高知高専の中脇維心(いしん)監督(20)は、高知高専5年の現役学生だ。 学生監督は同校の伝統。3年時に主将を務めていた…
高知高専の中脇維心(いしん)監督(20)は、高知高専5年の現役学生だ。
学生監督は同校の伝統。3年時に主将を務めていた中脇監督に声がかかり、先輩の後を引き継いで、昨秋の新チーム発足時に就任した。
この日は初回に投手が大きく崩れ、4安打を浴び4死球などで6失点。追加点を許し、一矢報いることもできず7回コールド負けした。
それでも、試合後のミーティングでは「今までで一番いい試合だった」と選手に語りかけた。公式戦ではいつも複数の失策を出してきたが、この日は失策ゼロ。「頑張ったかいがあった。声をかけあい、心を一つにできていた」とねぎらった。
もう一つうれしかったのは、2番打者の中脇颯心(そうしん)選手(1年)が2安打を放ったこと。自分の四つ下の弟だ。1週間前に2年の三塁手が肩を痛め、急きょ代わりの内野手として先発メンバーに。「弟だからじゃなくて実力を考えて入れた」という。
「自分だけ1年でスタメンなんて抵抗があった」という颯心選手だが、浜崎悠生主将(3年)の後押しもあって最後は「気兼ねなく、思い切りバットを振れた」。
浜崎主将は「『気負わずにいけ』と言ったら、颯心が実力を見せてくれた。失策ゼロを果たしたみんなも成長した。負けたけど、最後の最後に笑顔で終われた」と振り返った。
中脇監督も3年生と一緒に引退し、4年生のコーチに監督をバトンタッチする。(原篤司)