猛暑に代表される「気候変動」が日本はもちろん、地球規模で大問題になっている。サッカーもその影響を免れることはできず、ア…

 猛暑に代表される「気候変動」が日本はもちろん、地球規模で大問題になっている。サッカーもその影響を免れることはできず、アメリカで開催中のクラブW杯でも、突然の落雷などで試合が2時間近くも中断するなど、さまざまな実害が出ている。“世界最大のスポーツの祭典”であるワールドカップだが、今後も開催できるか分からないと警鐘を鳴らすのは、サッカージャーナリスト大住良之氏だ。ワールドカップ、ひいてはサッカー競技を守るために、我々は今後どうすればいいのか? 大住氏が「開催日程」の変更などを含めた、大規模な「構造改革」を提案する!

■世界中で「気候」が狂暴化!

 猛烈な暑さが続いていたと思ったら、猛烈な雷雨である。10日火曜日は、体育館での練習だったので、バケツをひっくり返したような雨(記録的短時間大雨情報が出た)の中、練習場に向かった。ところが、あまりの雨に体育館の屋根が雨漏りを起こし、全面というわけではないが、床が濡れてしまっていたので、練習をあきらめざるをえなかった。

 先週は落雷で、やはり練習に行ってから中止にした。2週連続して、こんな理由で練習が中止となるのは、初めての経験である。東京の気候もかなり「凶暴」になってきた。

「凶暴な気候」は、世界中で荒れまくっている。少し前に後藤健生さんも取り上げていたが、欧州は記録的な暑さに襲われ、2300人もが死亡するという、ヒドい状態になっている。アメリカは猛暑と落雷に見舞われた。そして日本の隣国韓国も、猛烈な暑さの中にある。

■猛暑から「選手」を守るために…

 韓国で行われている東アジアE-1選手権で、面白いシーンがあった。女子の日本×チャイニーズ・タイペイの一戦。後半25分に日本がオウンゴールで4-0と差を広げると、得点の合図の直後にタイのチャイサニット・パンサ主審は両チームに「飲水」を指示した。だが、両チームの選手たちがベンチ前に戻ってひと口飲むか飲まないかのタイミングで、再び笛を吹いて選手たちをピッチに戻らせた。そして5分後、長い笛を吹くと、「クーリングブレーク」を宣言したのである。

 午後4時半キックオフの試合。キックオフ時の気温は35度に達していた。前半も30分が経過したときに3分間の「クーリングブレーク」をとったのだが、後半はあまりの暑さの中で主審も「30分前後に」という取り決めを忘れてしまったのだろうか。

 Jリーグでも、夏場の試合では「飲水タイム」をとることが多いが、選手はピッチを離れずに1分間で給水を済ませる。これに対し、ルールでは、しっかり選手を休ませる「クーリングブレーク」も、3分間まで認められている。この場合、できれば冷房設備のある更衣室に戻るのが理想的なのだが、それができないときにはベンチ前でとる。

 この試合では、「飲水タイム」と同様、選手たちはピッチを出ずに氷で頭や首を冷やすなどの処置をとっていたが、「クーリングブレーク」は単に水分補給をするだけでなく、暑熱下のプレーで上がった体温を下げて「事故」をなくすことを目的にしている。更衣室に戻れないのなら、せめてベンチに座らせて休ませるほうがよかったと思う。

■落雷による「前代未聞」の出来事

 さて、アメリカで行われているFIFAクラブワールドカップ(FCWC)では、暑さだけでなく、雷でたびたび試合が中断し、大きな問題となっている。

 6月28日に行われたラウンド16のチェルシー(イングランド)×ベンフィカポルトガル)では、チェルシーの1-0のリードで迎えた後半40分過ぎから落雷の恐れのために、試合が2時間近く中断するという前代未聞の出来事があった。この大会では、アメリカ政府の方針により、10マイル(約16キロ)以内で落雷があったときには、野外で行われている活動は30分間中断して状況を見るという決まりがある。試合が行われていたシャーロット(ノースカロライナ州)は黒い雲に覆われただけだったが、規定を破るわけにはいかなかった。

 2時間近くの中断後、再開された試合では、後半の残り5分間とアディショナルタイムがプレーされ、その間にベンフィカが相手の「ハンド」でPKを得て「95分」に同点として延長戦になってしまった。延長戦ではチェルシーが3点を奪って4-1で決着がついたが、7万4867人が定員のスタジアムに2万5926人と発表された観客の大半は中断中に帰宅してしまい、スタンドにはまばらな観客しか残っていなかった。

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