(10日、第107回全国高校野球選手権栃木大会1回戦 黒磯1―0足利工) 黒磯が足利工との開幕試合を接戦で制し、夏の選手…

(10日、第107回全国高校野球選手権栃木大会1回戦 黒磯1―0足利工)

 黒磯が足利工との開幕試合を接戦で制し、夏の選手権栃木大会で9年ぶりの勝利。学校創立100周年の記念の年に花を添えた。同校出身の高久昌弘監督は「選手たちは楽しんでやっていた」と満足そうだった。

 先発した左腕の米倉大翔(3年)が、持ち味を生かした投球を展開した。

 球の出どころが見えにくいフォームから、内外角に制球良く投げ分けた。「いつもと同じように仲間(の守り)を信じて打たせようと思った」。被安打4、与四球1。余裕すら感じさせる完封勝利だった。

 少ない好機で適時打を放ったのは丸田尊(3年)。五回、走者を三塁に置いて「自分が打って決めたい」と気持ちで外野へ打球を運んだ。先頭打者として「次の試合では自分がチャンスメイクしたい」と意気込んだ。

 黒磯は1980年に選手権栃木大会を制した。今でも県北勢として唯一の甲子園出場となる輝かしい記録だ。今年は創立100周年記念のTシャツを着て練習するなど、45年ぶりの大舞台を目標に選手たちも気合が入っているという。

 今大会で県北勢は、春季県大会の好成績で矢板中央と幸福の科学学園がシード校になるなど存在感が高まっているが、高久監督に、県北で甲子園を知る学校としてのプライドをたずねると、「あります。こだわりを持っています」ときっぱり。次戦以降、打線に本来のつながりが出てくれば、さらに楽しみな存在になりそうだ。(津布楽洋一)

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 最後まで集中力を切らさず、反撃を試みた足利工。紙一重の攻防で、あと1本がでなかった。

 1点リードされて迎えた九回、先頭の立原和楽(わく)(3年)が三塁側に打球を転がし、一塁に頭から滑り込んで出塁。「絶対出ないとと思って必死に行ったら、ヘッドスライディングになっていました」

 続く芹沢桜輔(おうすけ)(3年)の犠打などで、立原は三塁に進んだ。あと1本で同点の場面。だが、平井奏多(かなた)(3年)の大きな当たりは相手の中堅手に好捕され、試合は終わった。

 先発芹沢の後を託され、マウンドにも立った立原。練習でも、投手としてはどんな場面でも「流れを戻せる投球」を、野手としては「芹沢が投手なので、絶対にエラーをしないこと」を心がけてきたという。「もっと試合をしたかった。自分がふがいなかった」(高橋淳)