(10日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会2回戦 佐賀西1―9鳥栖) 継続試合が決まったのは9日午後5時前。佐賀西…

 (10日、第107回全国高校野球選手権佐賀大会2回戦 佐賀西1―9鳥栖)

 継続試合が決まったのは9日午後5時前。佐賀西の吉冨寿泰監督は「とにかく早く帰って、たくさん食べて、寝なさい」と話し、選手はそれぞれ足早に帰宅した。

 松尾倫太郎投手(3年)は「おなかが減った。ボリュームあるものがほしい」と親に頼み、カツ丼を食べて寝た。10日は午前5時ごろに起床、同6時から学校で練習して備えた。

 再開のマウンドへ。松尾投手は「うちの(三回の)攻撃は1番からだったので、まず、3人で抑えることが大事」と意気込んだが、先頭打者に安打を浴びるなどいきなり2点を失った。

 中学時代は外野手。強いチームでもなかった。入学後、吉冨監督から「投手をやってみろ」とすすめられた。変化球に内外角への投げ分け、ベースカバー、覚えることはたくさんあった。

 七回、最後になるかもしれないマウンドに再び上がった。「ゼロに抑え、流れを持ってきたかった」。無失点で意地をみせた。

 新チームは、体力負けしないようにと「食トレ」に励んできた。それぞれが2リットルの食品保存容器を用意。半分ご飯、半分おかずを入れた弁当を作ってもらい、学校で食べた。

 松尾投手は体重が約9キロ増え78キロに。投球の強さや、試合中の安定感を自覚できたという。家族の協力も欠かせなかった。

 「冬の練習は長く感じたが、終わってみると意外に短かった。最後まで続けられてよかった」。仲間や親へ、感謝の思いが詰まっていた。(森田博志)