アフマダリエフとの大一番が正式発表され、試合に向けた強い意志を語った井上。(C)CoCoKARA next「最大の難敵」…

アフマダリエフとの大一番が正式発表され、試合に向けた強い意志を語った井上。(C)CoCoKARA next

「最大の難敵」――。そう評した挑戦者との大一番がようやく正式に公表された。

 7月10日、東京都内で、今年9月14日に開催されるボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦12回戦に向けた記者会見が行われ、メインイベンターとなる王者・井上尚弥(大橋)が出席。挑戦者となるWBA世界スーパーバンタム級暫定王者・ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に対する想いを語った。

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 この会見前に井上は自身のXで「キャリア最大の難敵」と発信した。そこには「最強は最強と戦うべき」や「馬鹿げている」などと再三再四、挑発的な対戦アピールを続けてきたアフマダリエフ陣営に対する並々ならぬ感情がある。モンスターにとっても、30歳のウズベキスタン人ファイターは“絶対に打ち倒さなければいけない相手”という認識は確かにあった。

 会見冒頭で「この試合についてはカルデナス戦の前に聞いた。正直、カルデナス戦はこの試合の開催がモチベーションになった」と因縁の相手とのビッグマッチの意気込みを語った井上は、こうも続けている。

「すべてのスキルに注意を払いながらボクシングをしっかりと組み立てていきたい。警戒心を高めにトレーニングを積んでいきたい」

 警戒心を高める理由は、アフマダリエフが「群を抜いて強敵」(大橋秀行会長談)と評する強敵だからこそ。無論、15戦14勝(1敗)、11KOというプロ戦績もさることながら、アマチュア時代に2016年のリオ五輪で銅メダルを獲得するポテンシャルもある。

 ファンにどういう試合を見せるかと問われても「今回は判定決着でもいい。しっかり勝ち星を取りに行く強い気持ちで戦いたい」と緊張した表情を浮かべた井上。普段と異なって「倒す」ことを宣言しなかった会見後、その胸中を明かしている。

「久々ですね。フルトン、ネリ戦以来。それぐらいの警戒心と集中力。全てが高いかなと思う。やっぱりアマチュアのキャリアや技術がある選手は、ビッグマッチの時に全てを変えられる力を持っていると思うんで。アフマダリエフもその類の選手だと見てます。だから、自分もそれ以上にいかないといけない。戦い方も計画的に立てなきゃいけない」

 ただ、判定勝ちも視野に入れて戦うからこそ、技術は極まり、ドラマが生まれる――。幾多の名手たちと拳を交わしてきた絶対王者に自信がないわけではない。

「相手が戦略を立ててきても、9月14日の井上尚弥はちょっと違うぞ、と。本気を出させていただきます」

 その自信を確固たるものにするための準備も着々と進めている。今夏には13年ぶりとなる帝拳ジムへの“出稽古”も実施し、「緊張感」を追い求める井上は、来月には元WBA・IBFスーパーバンタム級王者で、23年12月に王座戦を繰り広げたマーロン・タパレス(フィリピン)とのスパーリングも予定。心身ともにかつてないほど追い込もうとしている。

 果たして、モンスターは、その眼光で捉えた“獲物”をいかに仕留めるか。NTTドコモが運営する映像配信サービス『Lemino(レミノ)』で独占無料生配信される大一番の行方から目が離せない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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