(6日、第107回全国高校野球選手権静岡大会1回戦 御殿場南10―8相良) 三回表2死一塁、御殿場南のエース小林泰之投…
(6日、第107回全国高校野球選手権静岡大会1回戦 御殿場南10―8相良)
三回表2死一塁、御殿場南のエース小林泰之投手(3年)の打席。一塁走者の浜口瑛大選手(3年)が初球でスタートを切り、暴投に乗じて三塁へ。追加点の好機が訪れた。
小林投手はゴロで一塁へ。この間、敵失の間に浜口選手がかえって4点目。小林投手は捕手が球をそらした間に二塁に向かい、味方の安打で本塁を狙って5点目を挙げた。隙あれば次の塁に向かう。「足でかき回さなきゃ御南の野球じゃない。いい野球ができてるぞ」
チームは昨秋、フォームから走りを見直し、練習ではスプリント強化に時間を割いた。プロ野球選手にも走り方を指導する「走りの学校」のスタッフを招いて走り方を学んだのがきっかけだ。小林投手の発案で、より速く走り、球速アップにつながる瞬発力を高めるのが狙いだった。
その結果、50メートルのタイムは6秒5から6秒1に、昨秋は127キロだった球速は今春、137キロになった。チームは春の県大会以降に行った練習試合28試合で計105盗塁を決め、全体の走力も上がった。
小林投手はこの日、八回までに3失点し、一時マウンドを降りたものの、相良に3点差に迫られた九回1死満塁で再登板。味方の好守もあり、最後の打者を右飛に打ち取って試合を締めた。
九回のピンチで「仲間の表情から笑顔がなくなったのが反省点」と小林投手は振り返る。チームはこの日7盗塁。次の藤枝東戦も、もちろん足を使ってかき回すつもりだ。「笑って勝つのが御南の野球。応援してくれる人がわくわくするような野球で8強に勝ち上がりたい」(斉藤智子)