アクシデントに苛立ちを隠そうとしなかった角田。(C)Getty Images「本当に悔しい」――無念さも滲んだQ2敗退 …

アクシデントに苛立ちを隠そうとしなかった角田。(C)Getty Images

「本当に悔しい」――無念さも滲んだQ2敗退

 F1英国グランプリ(GP、決勝6日)の予選が現地時間7月5日にシルバーストーンで行われ、レッドブルの角田裕毅は予選2回目(Q2)敗退で12番手に沈んだ。ただ、決勝は、8番手となったオリバー・ベアマンが10グリッド降格のペナルティーとなったため、11番手からスタートする。

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 6戦連続でQ3進出を逃した角田。ポールポジションを奪取した同僚のマックス・フェルスタッペンの結果を加味すれば、やはりエースとの差は出た。しかしながら、今回の内容はポジティブなものだったと言えよう。

 一時はカットラインの10番手に浮上し、Q3進出が見えかけた。実際、今回の予選で角田が記録した最高速度328キロは、参加した18マシンの中でトップ。フェルスタッペンにも4キロ差をつける好走を見せていた。

 だが、Q2のセッション最終盤にアクシデントに見舞われた。アルピーヌのピエール・ガスリー、さらにメルセデスのキミ・アントネッリとQ3進出圏内を争う中で、突如としてパワーユニット(PU)に問題が発生。角田のマシンは出力系統がダウンし、10番手のガスリーに0秒115差となった。

 この時、角田は焦りを見せていた。Q2のラストアタックを終えた直後に、エンジニアのリチャード・ウッド氏への無線はこうだ。

「パワーがない、パワーがない。パワーがなくなったんだ。何か問題があったのか、というよりも、全体的にパワーがなくなってしまったんだ」

 急激なパワーダウンは、まさに想定外。手ごたえを掴んでいたであろう角田にとっては、フラストレーションの溜まるアクシデントであった。実際、予選後にF1公式のフラッシュインタビューで当人は、こう振り返っている。

「マシンの状態は問題なかったはずなのに、最後の最後に大きな問題が発生した。最終コーナーの出口付近で、それまでと比べてブーストが不足してしまった。突如としてパワーを失ってしまったんだ。最後のストレートまでの間にコンマ数秒を失ってしまったが、それがなければQ3に進んでいた。レースウイークエンドを振り返れば非常に良いペースで進んできただけに、重要な局面でこのような問題が発生したのが本当に悔しい」

 さらに角田は「この問題がなければ、Q3進出は確実に狙えたと思う」「とにかく普通の予選をさせてほしいっていう気持ちが強い」と語った。苛立った顔つきで言葉を発した姿には、無念さすら滲んだ。

「準備も自信も、全てが順調だったんだ」

 6戦連続のQ2敗退――という結果だけを切り取れば、批判の的となる。ただ、チーム上層部は角田の披露した“内容”をしっかりと評価している。

 英メディア『The Race』などのインタビューに応じたレッドブルのクリスティアン・ホーナー代表は、「ユウキもマックスと同様に素晴らしいパフォーマンスを見せていた。だが、残念ながら運が悪かった」と指摘。Q3進出圏内に迫った走りを高く評価した。

「彼はアタックの終わりに電気エネルギーが尽きてしまったと言っていた。それが彼に0.1秒のタイムロスを招いた。今日の予選はそれぐらいに接戦だったから、あのアクシデントはQ3進出の分かれ目となった」

 予期していなかったアクシデントがなければ、決勝をより良く始められる「結果」も掴めていた。首脳陣もそう評価するからこそ、本人の苛立ちは抑えられなかった。

「準備も自信も、全てが順調だったんだ。予選でもマシンの感触も良かった。だから、肝心の局面で何かをする度にこうなるのは、本当にイライラする」

 無論、悔やんでばかりもいられない。決勝はすぐにやってくる。「少なくとも少しは前進できた。(FP2を終えて)レースで何を改善すべきかも分かっている。まだ楽観的な見通しは持っている」と前を向く角田には、ポイント獲得に期待をしていいのかもしれない。

 果たして、ここから逆襲を見せつけられるだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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