ソフトバンクから巨人に移籍した甲斐は育成出身、大きく成長した選手だ(C)産経新聞社 高校野球の夏の地方大会がいよいよ本格…

ソフトバンクから巨人に移籍した甲斐は育成出身、大きく成長した選手だ(C)産経新聞社
高校野球の夏の地方大会がいよいよ本格化していきます。「負けたら終わり」の一発勝負で、勝って涙、負けて涙の青春ストーリーは、どんなに時代が移り変わろうとも夏の風物詩です。
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そして敗退は高校3年生の野球選手にとって、部活動からの引退を意味します。次なる目標は進路。プロ志望届を提出してNPBのドラフト会議、あるいは独立リーグでの野球継続を目指す人もいれば、バットをペンに変えて受験勉強に臨む人もいます。強豪校の選手は、推薦入試で大学に合格した上で、野球継続する人が多いようです。
ドラフト上位候補はさておき、かかるか、かからないかのボーダーラインの選手は、究極の選択を迫られることになります。それは、こういうものです。
「大学進学か、あるいは育成でのプロ入りか」
スポーツ紙のデスクは言います。
「NPB各球団が学校側に記入を依頼する調査書には、育成指名はOKかNGかを記載する欄があり、これが指名時の大きなポイントになります。各球団とも新人獲得には予算が定められていて、その枠の中で期待の逸材を確保しなければならない。となると安い人件費で、数年後に楽しみな選手をチーム内に置いておけるという育成制度は、願ったり叶ったりなんです。選手側からすれば、背番号3ケタとはいえ、憧れのプロのユニホームに袖は通せるし、『プロ野球選手になれた』という喜びでもある。『プロに行けるなら、まずは育成でも』と考えても、不思議ではありません」
しかし、入団後に「格差社会」を痛感することになると、前述のデスクは言うのです。
「育成選手は一軍の試合には出られませんし、支配下選手にならないことには、プロの世界でお金を稼ぐことができません。言い方は悪いですが、正社員と契約社員ぐらい待遇は違います。寮と食事、トレーニング環境は保証され、野球に打ち込む環境は整備されていますが、『職業としてのプロ野球』には程遠いのが現実です」
一方、育成出身者がメディアで取り上げられるのは成功者のみ。「絶対に支配下に上がるんだ」と誰もが成功を夢見てファームでの練習に打ち込みますが、ほとんどの選手にとって支配下登録への道のりは遠く、オフにはひっそりと戦力外になるのが通例です。
「大学進学か育成でのプロ入団か。正解はありませんが、大学へ行って4年後、支配下での指名を勝ち取るのも、決して悪くないと思います。急がば回れです。支配下で指名されないのは、足りない何かがあるから。ならばそれを埋めてから、堂々と高い契約金を手にしてプロ入りすればいい。年俸などの待遇面を考慮すれば、『育成選手は真の意味でプロ野球選手ではない』というのが、紛れもない真実と言えるでしょう」(前述のデスク)
指導者や保護者ら、周囲の声も決断に大きなウェートを占めそうです。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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