地球の温暖化が止まらない。危険な暑さだけではなく、自然災害の発生など、人類規模で問題が噴出している。生活の一部であるス…

 地球の温暖化が止まらない。危険な暑さだけではなく、自然災害の発生など、人類規模で問題が噴出している。生活の一部であるスポーツ、ひいてはサッカーおいても、さまざまな問題が顕在化し、対応に多くの人々が追われている。温暖化の地球においてサッカーが持続し、発展するために、今後、夏場の試合をどうするべきか。サッカージャーナリスト後藤健生が緊急提言!

■ハーフタイムを「20分」に拡大

 地球の温暖化がさらに進んだとしたら、さらに大胆な規則変更が必要になるだろう。

 国際プロサッカー選手会(FIPRO)はハーフタイムを20分に拡大することを提案したが、クオーター制の導入も考えられるだろう。

 現在、Jリーグでは暑さの厳しい試合では「飲水タイム」を設けている。前後半45分の中間の22分過ぎくらいでプレーがストップしたときに、レフェリーが試合を中断して選手たちはベンチ前に戻って水を飲んだり、頭や体にかけたりして、1分後に試合を再開する。

 国際的には「クーリング・ブレーク」を導入することのほうが多いようだ。こちらは、3分間の休憩だ。

 1分間の「飲水タイム」は、あまりにせわしない。ピッチの反対側からベンチ前まで戻って来た選手は、慌てて水を飲んで、再びピッチの反対側まで戻らなければならないのだ。その間に、監督やコーチが慌ただしく指示を伝える。

 選手の健康を考えるなら、やはり、もっと長い「クーリング・ブレーク」を採用すべきではないか?

■自由交代は「混乱」を生じるのか

 7月に韓国で開かれるEAFF E-1選手権では、暑さが厳しい場合には、前後半にそれぞれ2回の「クーリング・ブレーク」を実施することになるらしい。

 それなら、この「クーリング・ブレーク」をもう少し長くして、最初からクオーター制にしてしまったほうが分かりやすいのかもしれない(クオーターの休みの間にCMを入れられるので、テレビ会社や配信事業者は喜ぶことだろう)。

 もちろん、全中のように「再交代」制の導入を考えてもいい。フットサルやアイスホッケーのように、プレー中でも自由に交代できる方法だ。

 もっとも、選手数が少ないフットサルやアイスホッケーと違って、11人という多人数で行うサッカーで自由交代を認めると混乱が生じそうだが、18人制で行われるオーストラリアン・フットボールでも自由交代が認められている(人数オーバーが発覚すると相手チームにフリーキックが与えられる)。

■「トライ」「スリーポイント」導入?

 サッカーという競技は、ルールについてはかなり保守的なスポーツである。

 たとえば、他のほとんどの競技では早くからビデオ判定が導入されていたのに、サッカーは頑なにビデオ判定を拒んできた(ビデオ判定のテストが行われるようになったのが2016年。VARが採用されたのは2018年のロシア・ワールドカップ)。

 得点方法も昔から変わっていない。

 ラグビーでも初期のルールでは得点が認められるのはゴールだけだったが、その後、トライ(ゴールラインの向こう側にボールをタッチダウンするプレー)にも得点が与えられるようになり、そして、時代とともにトライの比重が大きくなって、現在はトライが5点で、コンバージョン・キックでゴールに成功すると2点が追加される。あるいはバスケットボールでは、20世紀後半になってスリーポイント・シュートが誕生した。

 だが、サッカーでは19世紀から一貫してロングシュートでも、オウンゴールでも、すべて1ゴール。それ以外の得点方法はない。

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