オーストリアGP後に肩を落とし、結果を受け入れるしかなかった角田。(C)Getty Images「今やセルジオ・ペレスよ…

オーストリアGP後に肩を落とし、結果を受け入れるしかなかった角田。(C)Getty Images
「今やセルジオ・ペレスよりも悪く…」
F1の“超”名門レッドブルでの生き残りを懸けた争いを続けてきた角田裕毅。しかし、サマーブレイクを目前にして、低調なパフォーマンスが続き、チームにおける自らの立場も危うさを増している。
今季第11戦となるオーストリアGPで完走したマシンの中で最下位となる16位に沈んだ角田は、4戦連続でポイントを喪失。3月末の緊急昇格によるレッドブル加入以降で合計獲得ポイントはわずか4と状況は悪化の一途を辿っている。
もっとも、今季はエースドライバーであるマックス・フェルスタッペンも、コンストラクターズランキングで1位のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)から61ポイント差の3位と後退。そのため、「ドライブできる状態じゃない」(フェルスタッペン談)と何かと懸念が示されるマシン『RB21』の“性能”に問題があるのではないかと問う声は小さくない。
それでも、持ち味のスピードが鳴りを潜め、“結果”を残せていない角田の更迭の噂は途切れず。ここにきて、そのパフォーマンスを糾弾する外部からの逆風は強まっている。
かつてルノーに所属した元F1ドライバーのジョリオン・パーマー氏は、自身がアナリストを務めているF1公式サイトで「彼らにとって何よりも厳しい現実は、フェルスタッペンの相当なポイント獲得がなければ、チームとして最下位に沈んでしまうことだ」と断言。長く続くレッドブルの“エース頼り”の体制を批判した上で、角田の現状をシビアに評価している。
「リアム・ローソンがレッドブルで不本意な結果に終わった後、昇格してきたツノダはレッドブルで一時的に調子を上げているように見えた。だが、今やセルジオ・ペレスよりも悪く、ローソンがレッドブルで走った2レースにも及ばないほどの調子にまで落ち込んでいる。彼らのマシンが運転しにくいということはよく知られているが、オーストリアGP後に『運転しやすい車ではないが、それほど難しいわけでもない』と発したクリスチャン・ホーナー代表のコメントには、明らかなフラストレーションが感じられた」
限りなく厳しい立場に置かれた角田に「できること」とは?
角田の現状が崖っぷちであると見立てるパーマー氏は、「非常に独特なスタイルと、マシンに対する並外れた感覚を持っている」と4連覇をやってのけたフェルスタッペンの異能性を強調。その上で「彼が乗りこなしてきたレッドブルのマシンを限界まで引き出して1周走らせるのは、容易ではない。しかし、ペースを落として運転しやすいバランスを見つけようとすると、本来の強みが損なわれ、アンダーステアが過剰になり、明らかに遅くなる。これが今のツノダの現状だ」と持論を続けている。
「最近のツノダの予選ラップを見ると、明らかなミスは見当たらない。彼はマシンの能力にしがみついているわけでも、特定のコーナーで大幅にタイムをロスしているわけでもない。だからこそ、彼自身もチームも彼のペース不足に困惑しているのだ。
レッドブルに昇格した当初のツノダは強気だった。しかし、スポーツ界で最も厳しい立場での9レースを戦った今の彼は以前の多くのドライバーたちの辿った運命を理解し始めたと思う。彼は自分の運転スタイルがマックスに近く、もっとうまく運転できるだろうと期待していたはずである。だが、結局は判明したのは、最高の状態になったマックスと同じように車を運転できる人は誰もいないということだ」
限りなく厳しい立場に置かれた角田。それでもパーマー氏は「今のツノダにできるのは、気持ちを切り替えて再び走り出すこと、そして今週末のシルバーストーンでリセットを試みることだけだ」と指摘。5年に及ぶF1での経験を活かせば、再起の可能性は残されているとの見解も示した。
現地時間7月4日から始まるイギリスGPは、チームの本拠地でもある英国のシルバーストン・サーキットが舞台となる。それだけに今まで以上に“結果”を求められるであろう角田が、どこまで己の走りを改善させられるかは大いに注目だ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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