■二刀流でいこう! 【野球×料理】 山形学院(山形)今田大翔さん 料理には、野球と通じるものがある。山形学院(山形市)の…

■二刀流でいこう! 【野球×料理】 山形学院(山形)今田大翔さん

 料理には、野球と通じるものがある。山形学院(山形市)の調理科で学ぶ今田大翔(こんたやまと)さん(3年)は、そう思う。野球部では主将。得意な一品はオムライスだ。仲間のために、何度もつくった。

 昨冬、寮で暮らす部員から「ランチをつくって」と頼まれた。自分は毎日、自宅で母の手料理を味わっている。「家庭の味が恋しいのだろう」と思いやり、ひと手間をかけてこしらえた。

 前日の夜にケチャップライスを準備。隠し味に、オレガノを加えた。ほろ苦い香りのハーブで、トマトの風味を引き立たせた。

 オムレツは、当日の朝に焼いた。「前日から冷蔵庫で冷やすと、卵のトロトロ感がなくなるんです。その日に焼くことで、フワフワした食感のオムライスになる。できたてに近い味を食べさせたいと思って」

 仲間は「寮では食べたことのないうまさ」と、笑顔になった。自分もうれしくなった。その後もオムライスを注文されるたびに、腕を振るった。

 初めて台所に立ったのは、保育園のころ。母の手伝いがきっかけで、5歳で卵焼きをつくれるようになった。野球を始めた小学生のときは、両親の帰りが遅い日の晩ごはんも用意した。今は中華料理が得意で、マーボー豆腐はお手のもの。でも、一番好きなメニューは母のカレーライスだ。

 「料理は、相手も自分も幸せにできる」と考え、高校は調理師免許が取得できる調理科に進んだ。

 「料理も野球も、ひとつひとつの過程が大切。たとえば、白髪ネギは盛りつける前に水に5分つけると、辛みがなくなる。ちょっとした下処理を惜しまないことで、雑味が出るのを防げます」

 チームでは3番打者で、いい味を出している。鋭い打球を外野へ打ち抜くため、身につけたのは「ノーステップ打法」。右打者なら、タイミングを取るために左足を上げる選手が多い。だが、上げずに打つ技術を磨き、体の軸を安定させることに成功した。

 勝負強さを発揮したのは、昨夏の山形大会3回戦。一回の満塁の好機に左前へ2点適時打、四回にも満塁の場面で右前へ2点適時打を放った。チーム最多の4打点を挙げ、11―1のコールド勝ちを収めた。

 「ヒットを打ったことより、打点でチームの勝利に貢献できたのがうれしかった。だれかのために力を尽くせば、仲間と自分とで喜びが2倍になる。料理も似ています」

 人前に立つのは得意ではないけれど、「みんなのためなら」と、チームのまとめ役に徹する。グラブは毎日磨く。包丁は丁寧に研ぐ。

 「野球の神様も、料理の神様も、きっと見ている。日ごろの心がけが、結果につながると信じています」(渡部耕平)