■超目玉・清宮幸太郎をめぐる腹の探り合い 今年のドラフトの目玉は、何といっても清宮幸太郎(早稲田実)だろう。高校通算111本塁打の打力はもちろん、神宮で行われた今夏の西東京大会決勝を満員にするなどスター性も抜群。プロ志望届を提出した後には1…

■超目玉・清宮幸太郎をめぐる腹の探り合い

 今年のドラフトの目玉は、何といっても清宮幸太郎(早稲田実)だろう。高校通算111本塁打の打力はもちろん、神宮で行われた今夏の西東京大会決勝を満員にするなどスター性も抜群。プロ志望届を提出した後には10球団が事前面談に訪れ、あらためて注目度の高さを見せつけた。それだけに、競合覚悟で清宮を指名するのか、あるいは他候補の一本釣りを狙うのか、各球団の腹の探り合いが焦点になりそうだ。

【写真提供:共同通信社】

 

 

 

■清宮争奪戦から撤退する広島、指名明言の阪神

 そんな中、37年ぶりのリーグ連覇を果たした広島は、いち早く清宮争奪戦からの撤退を表明した。そこで1位指名が有力視されるのが、地元出身の中村奨成(広陵)だ。ただ、捕手はすでにルーキーの坂倉将吾が台頭しているため、田嶋大樹(JR東日本)や鈴木博志(ヤマハ)ら、社会人投手の獲得にかじを切る可能性も否めない。また、左腕不足を解消すべく、齊藤大将(明治大)や高橋遥人(亜細亜大)などの名前も挙がりそうだ。
 一方、広島とは対照的に清宮の1位指名を明言したのが阪神だ。今季は一塁手を固定できず、左の大砲も不在とあって、チーム事情には合致している。投手では、救援陣が抜群の安定感を誇るため、そこにつなぐ先発が欲しいところ。東克樹(立命館大)や近藤弘樹(岡山商科大)、鍬原拓也(中央大)らが候補になるだろう。
 2年連続でAクラス入りを果たしたDeNAは、筒香に続く左の強打者として、清宮や安田尚憲(履正社)が1位候補になりそうだ。また、手薄な二遊間も着実に補強しておきたいポイント。山崎剛(国学院大)や田中俊太(日立製作所)、右打者なら北村祥治(トヨタ自動車)らの指名が予想される。

■補強ポイントを的確に埋めたいBクラス勢

 球団史上初めてクライマックスシリーズ進出を逃した巨人は、高齢化が進む野手陣の若返りが急務だ。それだけに、1位指名の最右翼はやはり清宮だろう。投手では、マイコラスとマシソンの両助っ人が米球界に復帰する可能性がある。最悪の事態に備えるべく、鈴木康平(日立製作所)や西村天裕(NTT東日本)ら、即戦力の指名が必要になりそうだ。
 5年連続のBクラスに沈んだ中日は、捕手が長年のウイークポイントになっている。FAでの補強や新外国人の獲得も検討しているようだが、中村の1位指名は有力な選択肢だろう。そのほか、流動的だった二塁手には宮本丈(奈良学園大)や藤岡裕大(トヨタ自動車)、手薄な投手陣には嶽野雄貴(西濃運輸)や田中空良(東邦ガス)の獲得もあり得る。
 球団史上最多の96敗を喫したヤクルトは、阪神に続いて清宮の1位指名を公言。だが、東や田嶋ら、即戦力投手の獲得に踏み切ることも十分考えられる。チームはほぼすべてのポジションが補強ポイントという状態であり、投手では馬場皐輔(仙台大)や與座海人(岐阜経済大)、野手では岩見雅紀(慶応大)や楠本泰史(東北福祉大)など、とにかく良い選手から積極的に指名していきたいところだ。

 昨年は、阪神が佐々木千隼(現・ロッテ)という大勢の予想を覆し、大山悠輔を1位指名して会場がどよめく一幕があった。清宮フィーバーに沸く今年は、どんなドラマが待ち受けているのか。運命のドラフトは10月26日に行われる。

※データはすべて2017年10月17日終了時点