野球シーズン真っ盛り。アマチュア野球界では選抜高校野球、春の地方大会、大学野球選手権、都市対抗予選などが行われ、多くのド…
野球シーズン真っ盛り。アマチュア野球界では選抜高校野球、春の地方大会、大学野球選手権、都市対抗予選などが行われ、多くのドラフト候補たちがアピールした。
『高校野球ドットコム』では今年1月に掲載した「ドラフト1位候補新年版」を更新。現段階での新たなドラフト1位候補12人を挙げていく。
6月の段階で1位候補に挙げられるのは以下12人だ。
石垣 元気投手(健大高崎)
立石 正広内野手(高川学園-創価大)
堀越 啓太投手(花咲徳栄-東北福祉大)
島田 舜也投手(木更津総合-東洋大)
中西 聖輝投手(智弁和歌山-青山学院大)
毛利 海大投手(福岡大大濠-明治大)
山城 京平投手(興南-亜細亜大)
竹丸 和幸投手(崇徳-城西大-鷺宮製作所)
大塚 瑠晏内野手(東海大相模-東海大)
高橋 隆慶内野手(明秀日立-中央大-JR東日本)
松下 歩叶内野手(桐蔭学園-法政大)
篠崎 国忠投手(修徳-徳島インディゴソックス)
不動のドラフト1位候補はこの4人!
「新年版」から変わらないのは、石垣、立石、堀越、島田の4名だ。
石垣は選抜で最速155キロ、春季関東大会でも最速156キロをマークした。平均球速は先発では140キロ後半、リリーフでは150キロ前半と、大学生の速球派投手と変わらない。140キロ近いカットボール、フォークという変化球の精度も高い。慎重に調整し、大きな怪我もなく進化し続けている。押しも押されもせぬ1位候補へ成長した。課題は試合によって波を少なくすることだ。まだ力んで、被安打、四球を重ねる場面が見られる。そこを改善できれば、1位競合の存在になりそうだ。
野手NO.1は立石。春のリーグ戦で5本塁打を放ち、順調な進化を見せた一方、大学選手権では無安打に終わった。だが、大学日本代表選考合宿では3安打を放ち、復調を印象付けた。打撃練習でも本塁打を量産し、格の違いを見せる。打球速度が明らかに違い、脚力も非常に高く、抜群の強肩まで見せるアスリートタイプ。うまく育てば、常に打撃タイトルを狙えるような成績を残せるだろう。現在のプロ野球は投高打低。スラッガーの需要は高まっている。立石は昨年、5球団競合だった宗山塁内野手(広陵-明治大-楽天)に近い競合数になるのではないか。
島田はバランスの良いパワーピッチャー。184センチ92キロとがっしりした体格から投げ込む常時150キロ前後の速球と、スライダー、フォークで圧倒し、短いイニングならば、155、6キロのストレートを投げ込む。ピンチになっても単調にならずに、試合をまとめる能力の高さがある。
東洋大OBで現西武の甲斐野 央投手の大学時代と比較しても負けていない。スライダー、フォークの精度もよく、将来の先発候補として名乗りを上げた。
堀越も島田と同様、大学生右腕の中では一歩リードしている剛腕。他の投手に比べてもスライダー、フォークの精度が高い。手元で鋭く落ちて、カウントが取れ、空振りも奪える。本人によると、フォークはなるべくストレートに近い軌道で急激に落とすことをイメージしているようだ。
下級生の時は150キロオーバーの速球で勝負していたが、今では先発で勝負するために、球種を豊富にしながら、殻を破ろうとしている。大勢(巨人)のような中継ぎタイプに育ちそうだ。
新たに浮上したドラ1候補たち!

中西は昨年から先発投手として活躍していたが、さらにスケールアップ。常時140キロ後半の速球、多彩な変化球を操るまでに成長した。大学選手権の投球には余力すら感じた。早稲田大・伊藤樹投手(仙台育英)、東北福祉大・櫻井頼之介投手(聖カタリナ)の同タイプの投手と比較するとスケールが大きいのが魅力。
高校時代からプロへ熱い思いを持っていたが、進学を決断。順調に即戦力投手へ成長している。
毛利はこの春のリーグ戦で最優秀防御率を受賞。今年、代表選考合宿に参加した左腕の中でも最もコマンドが良い。145キロ前後の速球は切れ味抜群で、どのコースでも球威が落ちることはない。この冬はストレートの強さにこだわり、オフ期間はすべてに野球に費やし、レベルアップに励んできたという。
スライダーの精度も高く、大学生左腕にしてここまで安定感の高い投手はなかなかいない。計算が立つ存在として重宝されそうだ。
山城は細身だが、常時140キロ後半の速球、スライダーで勝負する本格派左腕。好調時は150キロ中盤を連発する。
本人によると、瞬発系のトレーニングを重ねて、一気に球速を伸ばしたという。130キロ後半のカットボール、ツーシーム系統の変化球の精度も高く、NPBの世界でもパワーピッチャーとして活躍出来そうな要素がある。早い段階からローテーションに入っている大卒投手と比較しても劣らない能力はあり、秋も剛速球でねじ伏せる投球を展開すれば、1位競合の可能性もあるだろう。
竹丸は城西大時代から140キロ後半の速球を投げ込む本格派左腕としてNPBのスカウトから注目されていたが、プロ入りせず、社会人で腕を磨いた。ここまでの活躍を見ると、かなり順調に来ている投手ではないか。多数のNPB球団のスカウトが集結した都市対抗二次予選・Honda戦では5.2回を投げて1失点の力投だった。常時140キロ後半の速球、スライダーなどいずれも精度が高く、パワーピッチャーとして活躍する可能性が高い。大卒2年目の社会人左腕だが、まだまだスケールが大きくなりそうな伸びしろが備わっているのが魅力である。
大塚はもともと大学生NO.1の守備力を誇っていたが、課題は打撃だった。しかし、この春はリーグ戦で打率.419、1本塁打、10打点、大学選手権でも打率.500、2本塁打、5打点と顕著な活躍を見せ課題を克服。大学日本代表の候補合宿でも守備は別格の動きを見せていた。宗山を取り逃した球団は、次世代のショート候補として取りに行くのではないか。
高橋は中央大時代、阪神・森下翔太外野手(東海大相模)、ヤクルト・北村 恵吾内野手(近江)とともに注目されたスラッガーだ。3年春のリーグ戦・国学院戦で特大本塁打を打った姿を見て驚かされた。ドラフト前、森下の取材で中央大グラウンドを訪れた時もこの2人に負けない打球を放っていた。大学時代は荒削りな打撃フォームだったが、JR東日本に進んで打撃フォームが洗練され、的確にボールを捉える技術が高まった。
公式戦では71打数27安打、打率.380、5本塁打22打点と好成績を残しており、今年の社会人打者ではNO.1評価を受けている。調子の波が少なく、安定したパフォーマンスが期待できる。
松下は二度の大学代表に選ばれ、ここまでリーグ通算10本塁打を記録している右のスラッガー。昨秋から二季連続で打率3割以上を継続しており、リストが柔らかく、広角に強い打球が打てる打撃は評価できる。遊撃守備をこなせるほどグラブ裁きは安定しており、強肩でもある。攻守でバランスが取れている。最終学年でもしっかりと成長の跡が見えるのが良い。
徳島の高卒2年目の大型右腕にメジャースカウトが注目!?

大穴として、徳島インディゴソックスの192センチ長身右腕・篠崎を推したい。修徳時代から最速148キロを投げ込む大型右腕として注目されていた。惜しくもドラフトでは指名漏れとなったが、大学、社会人、独立リーグなど多くのオファーがある中で、「独立リーグの雄」と称される徳島へ。1年目は2試合だけに終わったが、2年目の今季は前期7試合で1勝1敗、防御率4.50、12回を投げ、10奪三振だが、ピッチングの中身は着実に成長を見せている。常時150キロ前半のストレートは打者の膝下にズバリと決まり、球質も長身を生かした角度のあるもので、打者からすればかなり打ちにくい。130キロ中盤のフォーク、120キロ中盤のスライダーの落差もある。今年の篠崎のピッチングはMLBのスカウトからも注目を浴びるようになっている。
長身投手が台頭するまでには時間がかかる。だがハマった時のパフォーマンスは計り知れない。日本ハムの達孝太投手(天理)も3年目まで浮き沈みが激しかったが、ついに今年は今季5試合で4勝、防御率0.33と圧倒的な投球を見せるようになっている。
篠崎も素晴らしい投球で圧倒する試合もあれば、打ち込まれる試合もあり、時間がかかるタイプ。ハマった時の投球は今年のドラフト上位候補に挙がっている大学生投手と比較しても負けていないものがある。徳島は投手のコンディション管理にかなり気を使っており、消耗度が少ないので、勤続疲労による故障も考えづらい。
さらに大学生のドラフト候補に比べて2学年下の20歳という若さでこれほどの投球ができているのが魅力だ。1、2年に下積みすれば、23歳になる頃にはエースクラスの投手へ成長する可能性がある。徳島関係者によると、「NPB球団の評価は高いです。とにかく後期のパフォーマンスが大事だといわれています」とこれから始まる後期で前期以上のパフォーマンスを披露すれば、独立リーグ史上初となる1位指名が見えるかもしれない。
これからもプロを目指す選手たちのアピールの場は続く。高校生は夏の地方大会、甲子園。大学生は秋のリーグ戦。社会人は都市対抗、日本選手権予選。独立リーグは7月以降の公式戦、あるいはNPBチームとの交流戦だ。
夏、新たな選手がドラ1戦線に浮上するのか。注目したい。