イタリアで研鑽を積む石川は「攻めることができた部分はたくさんありました」と前を向いた(C)Volleyball Worl…

イタリアで研鑽を積む石川は「攻めることができた部分はたくさんありました」と前を向いた(C)Volleyball World
バレーボールの女子日本代表は現地6月20日、香港で行われている「FIVBネーションズリーグ」予選ラウンド第2週のイタリア戦に臨み、2-3(23-25、25-16、15-25、25-20、17-19)で敗れた。この大会においては1年前の決勝と同じ対戦カードとあって注目を集めた一戦。対戦相手のイタリアはユニフォームの胸に昨年のネーションズリーグ優勝のパッチを携え、さらには昨年夏のパリ五輪を制した世界ナンバーワンのチーム。対する日本は大差をつけて落とした第3セットなど圧倒される時間帯があったものの、フルセットに持ち込んでみせ、最終第5セットでは4度マッチポイントに到達する。だが確実にサイドアウトをとって同点とするイタリアの集中力を前に、最後は17-16から3連続失点を喫して勝ち星にはあと一歩及ばなかった。
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今大会初黒星も、試合後のコートインタビューで「自分たちが攻めることができた部分はたくさんありました。サーブレシーブで少し崩された場面はありましたが、今日の試合は自分たちにとってよかったと思います」と前向きな姿勢を見せたのはキャプテンの石川真佑(ノヴァーラ/イタリア)だった。この試合ではオポジットの和田由紀子(NECレッドロケッツ川崎)のチーム最多28得点に続いて25得点をマーク。あとがなくなった第4セットは14-17から、力強いアタックで連続得点を叩き出し、チームに反撃ムードをもたらした。
この試合で特に鍵をにぎっていたのは、和田や佐藤淑乃(NEC川崎)という若きアタッカー陣がいかに力を発揮するかと併せて、やはりイタリアのバレーボールを“直に肌で味わってきた”面々の存在だろう。直近2シーズンを戦ってきた石川に加えて、この2024-25シーズンではセッターの関菜々巳がコネリアーノ、リベロの福留慧美がミラノとイタリア・セリエAの強豪クラブでプレーした。福留にいたってはイタリア代表の大エース、パオラ・エゴヌとチームメートである。
イタリア代表に名前を連ねるような選手たちの高さやパワーをリーグ戦で体感してきた彼女たちは、この試合でもその成果を確かに感じせた。福留や石川は相手のサーブを拾い上げ、チームがブロックディフェンスを敷くなかで強打レシーブを繰り出す。また石川は相手ブロックがぴったりとついてくる苦しいシチュエーションでも「攻める気持ちと、ブロックが高いので下に打たないように通過点を意識しながら」、しっかりとコースを打ち分けて得点を重ねた。
もちろんすべてがうまくいくわけはなく、ブロックシャットやサービスエースを浴びる場面もあり、最後はアタックを打った石川のタッチネットで試合は決着している。「細かいミスがやはり勝負を左右するなとあらためて感じました」と石川も受け止めていた。
とはいえ、パリ五輪MVP&ベストオポジットのエゴヌや同大会ベストミドルブロッカーのアンナ・ダネージらを擁した世界ナンバーワンチームに肉薄したのはまぎれもない事実だ。新体制1年目で好スタートをきっている女子日本代表、その中心には自身の経験値を代表活動に還元する石川キャプテンの姿がある。
[文:坂口功将]
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