6月21日(土)神奈川・横浜BUNTAIで開催される「OURO presents RISE WORLD SERIES …

 6月21日(土)神奈川・横浜BUNTAIで開催される「OURO presents RISE WORLD SERIES 2025 YOKOHAMA」。今大会では那須川龍心がISKA K-1ルール 世界ストロー級(-51.5kg)王座決定戦でハマダ・アズマニと対戦し、自身初のビッグマッチのメインイベンターを務める。

【映像】那須川龍心、王者への軌跡

 大会10日前、龍心が異例の公開練習を行った。通常公開練習ではそこまで強度の高いものは行わず、ミット打ちやマススパーリングを行うことが多いが、この日の龍心はヘッドギアを着用し、3分2Rのボクシング形式のいわゆる“ガチスパーリング”を披露した。

 これは那須川弘幸会長の指示で行われたもので、龍心は疲労がたまる時期であったものの「減量して体が軽くなっていて、動きにキレが出てきている」という言葉通りのシャープな動きを見せて、仕上がりの良さをうかがわせた。

 今回龍心が対戦するアズマニはモロッコ人ファイターで、ヨーロッパでは軽量級の試合が少ないことから、ISKA K-1ルールではフェザー級(57kg)の世界タイトルを保持している。龍心にとっては初めてタイ・韓国人以外の外国人選手、アフリカ系の選手との対戦となる。

 そこで龍心はタイに渡り、ヴェノム・トレーニング・キャンプ(VTC)で約2週間の合宿を敢行。VTCはタイ在住の欧米選手たちが練習の拠点にしているジムで、タイのジムながらほとんどタイ人選手は在籍していない。龍心はアズマニ対策としてVTCで様々な国の選手と手を合わせ、仮想アズマニの感覚を掴むことができたという。

「TEPPEN GYMにも色んなタイプの選手がいますが、今回の相手のようなタイプがいないので、今後の役にも立つと思って、このタイミングでタイに行くのがベストかなと思いました。VTCではダゲスタンやジョージアの選手と練習したり、ナビル・アナンの弟(ヨニス・アナン)ともマススパーをしたり。VTCの初日の練習で(海外選手は)全くリズムが違うということに面を食らったので、そこを経験できたことはめちゃくちゃ良かったです」

 昨年11月にRISEフライ級王座を奪取した龍心は現在9連勝・4連続KO勝利中と絶好調だ。特に前回3月のRISE両国大会では兄・那須川天心と判定までもつれたムエタイの強豪クマンドーイ・ペッティンディーアカデミーを2RKOでマットに沈めており、RISE伊藤隆代表も「実力の部分ではキック時代の天心と同じか超えていると思う」と龍心の強さを認めている。

 RISE王座獲得からのISKAの世界王座挑戦は天心が10代の頃に歩んできたキャリアであり、これまでナンバーシリーズ=後楽園ホールでメインイベントで試合をした経験がある龍心が、WORLD SERIES=数千人規模の会場でメインイベントに登場するのは今回が初めて。着実にキャリアを積み重ねてきた龍心が、いよいよビッグマッチのメインイベンターを任された形でもある。

「最近戦ってきた相手は日本のファン・お客さんにも名前が知られていて、その相手に対して『那須川龍心は通用するのか?』という位置付けの試合だったと思います。でも今回の相手は日本ではあまり知られていない選手で、自分の実力もそうですし“見せ方”が試されていると思います。この試合は『今後この選手をメインイベントで使えるのか使えないのか?』という、RISEからの試練。今回は色んな戦いだと思っています」

 ライバルは対戦相手や同じ階級の選手ではなく那須川天心という存在。龍心が“天心超え”に挑む時が来た。

文/中村拓己