カナダGPの決勝で好走を見せた角田。そのレースパフォーマンスはチーム内での評価を高めるものとなった。(C)Getty I…

カナダGPの決勝で好走を見せた角田。そのレースパフォーマンスはチーム内での評価を高めるものとなった。(C)Getty Images

 何よりも欲しかった“結果”はまたも残せなかった。去る6月15日にジル・ビルヌーブサーキットで決勝を迎えたF1第10戦カナダGPで、レッドブルの角田裕毅は12位にフィニッシュ。予選で壮絶なクラッシュに見舞われながら、意地でポイントを獲得したエミリア・ロマーニャGP以来となるトップ10入りはならなかった。

【動画】曲がり切れずにマシンが大破 危ない角田裕毅のクラッシュシーン

 決勝前日のFP3で赤旗中断時に他車を追い越したとして、10グリッド降格のペナルティを受けるなど、「馬鹿げてる」と不満を漏らしてしまうほどのトラブルに見舞われた角田。痛恨の18番手スタートとなる中、オーバーテイク困難とされる独特なコースをもろともせず、序盤から順位を上げていった。

 最終的にポイント圏外に終わった。それでもアップデートパーツも投入された今GPで怒涛のごぼう抜きで披露した角田の走りは、レッドブル首脳陣の評価を高めている。

 現地時間6月18日、オランダ・メディア『RacingNews365』の取材に応じたレッドブルのクリスティアン・ホーナー代表は「ポイントに届かなかったのは運がなかった。だが、レース自体は非常に良い内容だったと思う」と称賛。その上で華麗なオーバーテイクを見せた走りを褒めちぎっている。

「タイヤがクリーンになってからは、より良い仕事をしてくれたと思う。ここでのオーバーテイクがどれだけ難しいかを我々はよくわかっている。だからこそユウキは少しの自信を持って帰ってきたと思う。もしも、彼が予選でペナルティを受けず、獲得したグリッドポジションからスタートしていれば、ポイントを獲得していたはずだ」

 さらに「ユウキは、マックス(・フェルスタッペン)のセットアップを真似しようした他のドライバーたちがやってきたようなことを避けようとしている」と語ったホーナー代表は、エースドライバーとは異なる選択をし続ける角田の姿勢を評価している。

「彼は独自の道を切り開き、自分のスタイルとニーズに最も合ったマシンを模索している。その点で、今週末(モントリオール)は良い進歩を遂げたと思う」

 無論、今後も激しい競争は続く。結果を残せなければ、シート交代論も過熱し、角田へのプレッシャーも高まっていくのは間違いない。そうした中でも角田は「プレッシャーはもちろん大きいし、時々それを楽しめていないこともあるけど、それは自分を成長させ、もっと自分の実力を証明するチャンスでもある」と苦境を前向きに捉えている。

 あとはポイント獲得で貢献していくだけ――。角田にとって今夏は真価の問われるシーズンとなりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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