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 6月15日、男子バスケットボール日本代表のディベロップメントキャンプが報道陣に公開された。若手選手が多く招集された中、アメリカ・ノーザンコロラド大学に在学中の山﨑一渉もその一人として参加。重いケガを乗り越えてキャンプに臨んだ彼が、今の心境を語った。

 仙台大学附属明成高校(宮城県)を卒業後、山﨑は2022年にNCAA(全米大学体育協会)1部のラドフォード大学へ進学。1年目はルーキーとして経験を積んだ。迎えた2年目、さらなる飛躍を期待された矢先の2023年8月、右膝前十字靱帯断裂、内側側副靱帯損傷、半月板損傷という大ケガを負った。シーズン直前の出来事だった。

「本当に苦しい経験だった。でも、その期間があったからこそ今がある」と山﨑は語る。そのシーズンはレッドシャツとして公式戦には出場せず、リハビリに専念。1年間バスケットができない状況が、かえって競技に向き合う意識を変えた。「人生を乗り越えた感覚。責任感も変わったし、自分がバスケをできるありがたさに改めて気づけた時間だった」と振り返る。

 2024−25シーズンは、競技復帰とともに“2年生”として公式戦に出場。復帰後は主力として活躍し、自信と手応えを取り戻した。

 そして2025年春、大学4年目となるシーズンを迎えるにあたり、山﨑はノーザンコロラド大学へ転校を決断。制度上は3年生として登録され、さらなる成長と代表入りを視野に入れた挑戦を選んだ。「いくつかオファーをもらった中で、自分が成長できると感じた環境を選んだ。日本代表や将来のことを考えた結果です」と、その理由を明かす。

 ディベロップメントキャンプには、同世代の注目選手たちも参加している。「自分がケガをしていた時期に、彼らが活躍していた。その姿に刺激を受けて、負けていられないという思いでリハビリに取り組んできた」と山﨑は語る。そして今、彼らと同じコートで競い合えることに「楽しい」と笑みを見せた。

「シュートには自信がある。そこは負けていない」と語る姿に、再起を果たした選手としての誇りと、競争の中でさらなる成長を遂げたいという意欲がにじむ。

 苦難の時期を乗り越えた山﨑一渉。代表キャンプでの経験を糧に、次なる飛躍のシーズンへ歩みを進めている。

【動画】ラドフォード大時代、得意のシュートを決める山﨑一渉