― 成長促進における栄養療法の考え方 ―「たくさん食べているのに、あまり身長が伸びない」「好き嫌いが多くて、栄養が足りて…

― 成長促進における栄養療法の考え方 ―

「たくさん食べているのに、あまり身長が伸びない」
「好き嫌いが多くて、栄養が足りているか心配」
「サプリメントって本当に必要なの?」

池尻大橋せらクリニックの成長促進外来では、食事=成長の“土台”と考えています。どんなにホルモン治療や運動をしても、栄養が不足していては、体はうまく反応してくれません。

今回は、お子さんの成長を引き出すために大切な「栄養療法」についてご紹介します。

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【成長に必要な“3大栄養柱”】

成長において特に重要なのは、以下の3つです:

1.たんぱく質:骨・筋肉・ホルモンの材料
2.カルシウム・ビタミンD・マグネシウム:骨の形成に不可欠
3.亜鉛・鉄:成長ホルモンやIGF-1の産生に関与
これらは単に“栄養素”として摂るだけではなく、吸収・代謝・ホルモンとの連動も必要なため、質とバランスがとても大切です。

【よくある成長阻害要因】

以下のような習慣があると、身長の伸びが妨げられている可能性があります:

・朝食を抜く(空腹状態が長時間続く)
・お菓子・清涼飲料の摂取が多く、インスリン抵抗性を高めている
・肉や魚を食べない(植物性たんぱく中心)
・極端なダイエットや偏食がある
・鉄・亜鉛・ビタミンDが慢性的に不足している

特に思春期前後では、鉄・亜鉛・ビタミンD不足が原因でIGF-1が上がらないケースも多く、食事の質を見直すことで反応が変わることもあります。

【食事で気をつけるポイント】

・朝・昼・夕の3食をしっかり摂る
・肉・魚・卵・大豆製品など、動物性+植物性たんぱくをバランスよく
・カルシウムは乳製品、小魚、海藻類などから摂取
・鉄分は赤身の肉、レバー、貝類などがおすすめ
・ビタミンDは魚(鮭・いわし)やキノコ類+日光浴で補う
・夕食後3時間以上空けて就寝することで成長ホルモンの分泌を促進

また、間食も“第4の食事”として重要であり、プロテイン・ナッツ・チーズ・干し芋など栄養価の高いものを選ぶことが推奨されます。

【まとめ】

栄養は、成長を支える“体づくりの材料”です。特別な治療を受けていなくても、食事を見直すだけで成長が改善するケースも少なくありません。
「身長が思うように伸びない」「好き嫌いが多くて心配」と感じたら、まずは日々の食事から整えてみましょう。

[文:池尻大橋せらクリニック院長 世良 泰]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

池尻大橋せらクリニック院長・世良 泰(せら やすし)

慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人スポーツチームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。