今はベンチで戦況を見つめながら、己の改善に努めている佐々木。(C)Getty Images 無念の離脱からどう立ち直るか…

 

今はベンチで戦況を見つめながら、己の改善に努めている佐々木。(C)Getty Images

 

 無念の離脱からどう立ち直るか――。佐々木朗希(ドジャース)の再起に向けた試練は続いている。

 今季からドジャースの一員となった佐々木。東京ドームで迎えたカブスとの開幕シリーズでは最速100.5マイル(約161.7キロ)の快速球を投げ込むなど上々の船出を切った“令和の怪物”だが、徐々にパフォーマンスが低下。そして、5月13日に「右肩のインピンジメント」が判明し、15日間の負傷者リスト(IL)入りとなった。

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 離脱する以前から違和感を抱えながら投球を続けていたという佐々木。厳しい現実を突きつけられてから2週間以上が経過し、今もブルペンでの投球再開には至っていない。そんな23歳の現状についてマーク・プライアー投手コーチは、米誌『Sports Illustrated』のインタビューで「痛みはないが、進歩を遂げるために十分な強度で練習できるところまではまだ至っていない」と明言。「ロウキに関して今は特に報告できることもない」としつつ、こう明かしている。

「今は彼が自信を持ってボールを投げられる状態を作らなければならないと思っている。ボールを投げたとしても、まだ軽いキャッチボール程度で、それ以外の練習はあまりしていない。必ずしも本格的に投げる練習は必要がないと考えている」

 このプライアー投手コーチの回答には、佐々木に対するドジャースの考えが明確に浮かび上がっている。というのも、タイラー・グラスノーやブレイク・スネルなど怪我人が相次ぎ、ローテーションが火の車となっている現在の先発投手陣の状態を考慮すれば、佐々木も「投げる練習が必要ではない」と言える状況ではない。

 それでもプライヤー投手コーチが「自信を持ってボールを投げられる状態を作らなければならない」と基礎を重視させる意向を示したのは、佐々木はあくまで中長期的な視野で仕上げていくという意志の表れと言えるのではないか。

 もっとも、佐々木に関してはドジャース移籍以前から身体的な不安の声はあった。米スポーツ専門局『ESPN』は特集記事内において「ササキは間違いなく将来有望な投手だが、高校時代から周囲で大きな期待が寄せられているにもかかわらず、依然として完全には成長していない」と指摘。そして、匿名のフロント幹部のコメントを伝えていた。

「彼は解決策を常に考え、分析力に優れ、前向きな姿勢を貫いている。多くの選手は自分がどう進歩していくかを気にしていないが、ササキは自分の改善を考えている。ただ、長期的に見て自分自身を改善していくためには、時には一歩下がって、何がうまくいったのか、何がうまくいかなかったのか、そしてギャップをどう埋めていくのかを内省する必要がある」

 周囲の予測を考えれば、苦しむ佐々木の現状は必然だったのかもしれない。

 果たして、彼は試練の時をどう克服するか。一部では6月中の復帰も見込まれるが、厳しい競争の中でぶつかった特大の壁をどう乗り越えるためには、時間をかけながら、成長の鍵を模索するのもありなのかもしれない。

 いずれにしても、「我々は今後も育成的なアプローチで作業をしていく」というプライアー投手コーチをはじめとするドジャース首脳陣が、令和の怪物をどう仕上げていくは日米両球界の大きなトピックとなりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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