ライブBPに3度登板「オールスター後」の復帰時期にも前倒しの可能性 ドジャース・大谷翔平の“投手復帰”へ向けての足音が、…

ライブBPに3度登板「オールスター後」の復帰時期にも前倒しの可能性

 ドジャース・大谷翔平の“投手復帰”へ向けての足音が、はっきりと聞こえてきた。10日(日本時間11日)には、2023年9月の右肘手術以後3度目となるライブBPに登板。7月15日(同16日)のオールスター後とみられてきた戦列復帰時期も、前倒しされる可能性が取りざたされている。大谷本人、球団、デーブ・ロバーツ監督ら現場首脳陣には三者三様の思惑が……。現役時代にNPB通算2038安打を放った好打者で、MLBにも造詣が深い野球評論家・新井宏昌氏が分析する。

 オールスターの前となる可能性もゼロではない──“投手・大谷”の戦列復帰は、前倒しとなるムードも漂い始めた。新井氏は「監督や球団スタッフが見守る前での投球練習、ライブBPの内容が、よほどいいのでしょう」と推察。「大谷はあくまで二刀流をやるつもりで海を渡っていますし、両方で自分のパフォーマンスを披露したいという思いが強い。少々復帰時期が早くなるとしても、『投げてくれるか?』と聞かれれば、必ず『行けます』と答えるでしょうね」と見ている。

 ただ、2023年オフに大谷と10年総額7億ドル(約1015億円)の歴史的大型契約を結んだ球団としては、おいそれといかない事情もある。

「何よりも怪我をしてもらっては困る球団は、慎重にならざるをえない。大谷がドジャースで二刀流を行うのは初めてですが、エンゼルス時代以上に気を遣われる状況にあります。実際に始めてみなければわからない部分もありますが、もしかすると、投手として登板した翌日の試合には、打者としても出場させず休養を取らせるとか、対策が取られる可能性があると思います」と指摘。「そうなれば、シーズンを通して打席数が減り、タイトル争いなどに影を落とす可能性も出てきます」と付け加える。

 一方、現場のロバーツ監督は首を長くして“投手・大谷”の復帰を待ちわびていることだろう。ドジャースは佐々木朗希投手、ブレイク・スネル投手、タイラー・グラスノー投手ら、計算していた先発投手が次々と負傷者リスト入り。本来はリリーフ専門の投手を比較的短いイニングで先発起用するなど、台所事情は“火の車”だからだ。

「本人、球団、現場首脳陣の3者間での“ルールづくり”が重要になると思いますし、既に話し合いは始まっているはずです。登板の前日や翌日に完全休養させるとか、落としどころをさぐっているところでしょう」と新井氏。「本人はおそらく、よほど疲れた時以外は休養を求めないと思いますし、実際に始めてしまえば、投打両方で活躍する可能性が高い」だけになおさら、いかに負担を予測し軽減するかが鍵になりそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)