レッドブルで厳しい状況に置かれている角田。(C)Getty Images 今週末に開催されるF1第10戦のカナダGPは、…

レッドブルで厳しい状況に置かれている角田。(C)Getty Images

 今週末に開催されるF1第10戦のカナダGPは、レッドブルの角田裕毅にとって、F1参戦100戦という節目であると当時に、自身のキャリアを占う正念場ともなる。

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 F1での5年目を迎えた今季に、角田は目標だったレッドブル昇格を決めた。しかし、リアム・ローソン(現レーシングブルズ)の不振をキッカケに舞い込んだ挑戦は容易いものではなかった。第3戦の日本GPから7戦を消化して彼が獲得したポイントはわずか7。エースドライバーであるマックス・フェルスタッペンの仕様に合わせている特殊マシン『RB21』への適応に苦心している感は否めない。

 公式予選から精彩を欠く角田には、周囲の見方も辛辣化。現地時間6月11日には、英国のF1専門メディア『F1OVERSTEER』が今季中のシート交代が「ある」と示唆。成長著しい新人のアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)の昇格、さらにはF1スーパーライセンスの特例発行が承認されたばかりである17歳のアービッド・リンドブラッドがレーシングブルズの一員になると予測した。

 早くもチーム更迭の声が噴出する角田。結果が残せなければ、いかなる理由があっても批判の的となるのは、“常勝軍団”に属する宿命ではある。

 もっとも、チーム首脳陣は角田への強い信頼を見せてはいる。ドイツのモータースポーツ専門サイト『Motorsport Total』に登場したレッドブルの顧問を務める重鎮、ヘルムート・マルコ博士は「我々の計画では、ユウキはシーズンを完走することになっている。彼はレースで良い仕事をしている」と断言している。

 ただ、オーストリアの専門サイト『Speedweek』のコラム内で「深刻なのは、ユウキがフリー走行ではマックスともコンマ1秒遅れ程度なのに、公式予選になるとその差が広がってしまうことだ。プレッシャーがかかると、彼はその中でうまくやれない」と訴えていたマルコ博士は角田への注文も忘れていない。

「ユウキは今も予選でだけ苦労をしている。特に、何らかの変化があったときに、彼は問題を抱えるようになっている。今の彼がとにかくしなければならないのは、ただただ、『できるだけ多くのポイントを獲得する』。それだけだ」

 マルコ博士の言葉を鵜呑みすれば、一部メディアでしきりに報じられる“早期解雇”の可能性は低い。ただ、ここから先も低調なパフォーマンスが続けば、どうなるかは不透明な情勢なのは間違いない。

 とにかく結果を出し続けること――。この課題を角田がいかに乗り越えていくのかに注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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