第107回全国高校野球選手権三重大会(朝日新聞社、三重県高校野球連盟主催)に向け、県高野連は8日、伊勢市のダイムスタジ…

 第107回全国高校野球選手権三重大会(朝日新聞社、三重県高校野球連盟主催)に向け、県高野連は8日、伊勢市のダイムスタジアム伊勢で審判講習会を開いた。審判部56人のうち約50人が参加し、適度な緊張感を保って正確にジャッジするためのメンタル研修を初めて実施した。

 メンタル研修の講師は、昨夏まで21年間、夏春の甲子園の審判を務めたスポーツメンタルトレーニング指導士の西貝雅裕さん(59)。西貝さんは「リラックスしすぎても、極度に緊張しても、最高のパフォーマンスは出せない」として、審判の緊張度を信号の青・黄・赤にたとえ、「自分の中に信号を持って場面ごとに使い分け、試合を決めるようなプレーでは、黄信号の時のように集中力を高めてほしい」と話した。

 また、プレーの前に「ルーティン」と呼ばれる一定の動作を採りいれることで、平静な心を保ちやすいことなども紹介した。

 審判員らはグラウンドでは実技講習にのぞんだ。ジェスチャーや、打撃妨害時の動作や対応などを確認した。宇治山田と宇治山田商の部員らが協力した。県高野連審判部の堤長功(ながのり)部長(60)は「炎天下でいかに心理状態を保ち、誤審を防ぐか、有意義な話が聞けた」と話した。(本井宏人)

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 三重県高校野球連盟審判部に今年度、2人の「新人」が入った。ともに高校野球を経験し、今春に高校を卒業したばかり。練習試合で経験を積み、約1年後に公式戦の審判としてデビューする見込みという。

 田中礼雅(らいが)さん(19)は、菰野の控え捕手として昨夏の甲子園でベンチ入りした。今春に車体メーカーに就職して趣味で野球を続けているが、「野球部を引退後は目標を失い、生活に張りがなくなった。高校野球にかかわり続けたい」と審判を志した。

 森川優人さん(18)は、白子の元一塁手。今は看護師をめざして専門学校に通う。「試合で審判が声をかけてくれたのが、うれしかった。今度は自分が高校野球を支えたい」といい、セーフやアウトの判定動作の指導を受けていた。(本井宏人)