■引きの強いロッテ、ツキのないオリックス 毎年多くの注目を集める、プロ野球ドラフト会議が近づいてきました。今年の注目はやはり早稲田実業の大砲・清宮幸太郎。回避を明言している広島を除く11球団が指名する可能性を残していることから、長いドラフト…

■引きの強いロッテ、ツキのないオリックス

 毎年多くの注目を集める、プロ野球ドラフト会議が近づいてきました。今年の注目はやはり早稲田実業の大砲・清宮幸太郎。回避を明言している広島を除く11球団が指名する可能性を残していることから、長いドラフト会議の歴史でも類を見ない壮絶なくじ引きとなる可能性があります。

 清宮を引き当てる幸運な球団はどこになるのか、近年の各球団の引きの強さを確認してみましょう。サンプルは2000年以降のドラフト会議で、外れ1位を含むくじ引きの結果を対象とします。

 

 2000年以降で最も高い勝率をマークしているのはロッテでした。競合必至の人気選手にも積極的に入札し、3回に2回の割合で交渉権をつかみ取る強烈な引きを発揮。昨年は本命の田中正義こそ的中ならずも、外れ1位で5球団が集中した佐々木千隼を見事引き当てました。現在12球団で唯一連勝中なのがソフトバンク。昨年は1/5の確率で田中正義の当たりくじを引き、2年前も3球団の競合を制して高橋純平の交渉権を獲得しています。

 逆にまったくツイていないのがオリックス。近鉄時代を含めると現在12連敗中(オリックス・バファローズとなってからは11連敗)で、2013年以降は競合が確実視される人気選手を避けて一本釣りを狙うケースが増えています。同じく一本釣り志向の強い西武も2013年以降くじ引きに参加していませんが、2009年に6球団競合の菊池雄星、2010年に6球団競合の大石達也を引き当てる剛腕ぶりを見せています。清宮獲りに参戦となると注目したい球団のひとつです。

■最多重複は8球団

写真提供:共同通信

 

 これまで最も多くの指名を集めた選手は、1989年の野茂英雄(新日鉄堺)と1990年の小池秀郎(亜細亜大)の8球団です。1988年のソウルオリンピック日本代表として銀メダル獲得に貢献するなど、社会人野球屈指の剛腕として鳴らした野茂は近鉄が交渉権を獲得。1年目から沢村賞を獲得するなど数々の偉業を達成し、またメジャーリーグ挑戦の実質的なパイオニアとしても広く知られています。

 2年続けての8球団競合となった小池は、ロッテが交渉権を獲得しました。当時の指揮官・金田正一たっての希望による入札が功を奏したかに思われましたが、意中の球団ではなかった小池サイドがこれを拒否。社会人野球の名門・松下電器に進むことになり、プロ入りは2年後に持ち越されることになりました(近鉄が単独1位指名)。近鉄入団後は5年目に最多勝を獲得するなど、貴重な左腕投手として3つの球団を渡り歩きながら13年間のプロ生活を送りました。

 1995年に高校ナンバーワンスラッガーとして人気を集めた福留孝介(PL学園)は、7球団の入札が集中。当たりくじを引いた近鉄の指揮官・佐々木恭介の「ヨッシャー」の声は今でも語り草となっていますが、希望球団ではないとして福留は日本生命に入社。3年後に逆指名で中日に入団すると、メジャーリーグを経て現在でも阪神の主力打者として活躍を続けています。

 2017年ドラフト会議の最大の目玉である清宮幸太郎には、果たして何球団の入札が集まるか。そして当たりくじをつかんだ球団との交渉の行方にもまた、注目が集まります。

文:データスタジアム株式会社
グラフィックデザイン:相河俊介