プロボクサー浜島悠紀(29)=福岡・白銀(しろがね)ジム=の試合を初めて見たのは昨年6月だった。 敵地の大阪で格上の選…
プロボクサー浜島悠紀(29)=福岡・白銀(しろがね)ジム=の試合を初めて見たのは昨年6月だった。
敵地の大阪で格上の選手と対戦し、2回に痛烈なダウンを食らう。だが、そこから見せ場をつくった。攻めてくる相手に右アッパーを合わせるなど、危ないパンチの交換が続いた。
8回判定負けだったが、パンチをもらいながらも、最後まで逆転を狙い続ける姿が印象に残った。試合後に声をかけると、歯切れ良く言った。
「僕は何敗したとしても、チャンピオンになるまで、何があっても続けます。そう決めて、復帰しましたから」
4年のブランクがあり、その3カ月前に復帰したばかりだという。
山口県下関出身で、今も地元に住んでいる。3兄弟の真ん中。スポーツは野球、柔道などの経験があるが、「ボクシング以外は何をやっても三日坊主だった」。
中学1年のとき、兄弟とともに近所のボクシング教室で手ほどきを受けた。下関国際高に進学後、本格的にジム通いを始める。
3年時にプロテストに合格し、卒業してすぐにプロデビュー。最初の9戦は8勝1分けで、西部地区(広島、山口、九州・沖縄)では若手のホープとして注目された。
しかし、2018年以降は目のケガを抱えながらの戦いだった。「ずっと試合をするのが楽しかったのに、怖くなって」。20年2月の試合で4連敗を喫すると、リングを去る決心をした。24歳だった。
引退後はスーツを着て営業の仕事もした。ボクシングは「二度とやらない」と思っていたが、少しずつ目が回復し、総合格闘技のジムなどに出入りするようになった。「本能じゃないですかね。戦うことが好きだったんだな、と」
かつて自分に勝った相手が、後に日本暫定王者になったのも刺激になった。ただ、簡単に復帰を決めたわけではない。半年間、「腹の底からチャンピオンになりたいのか?」と自問自答した。そして24年3月、復帰戦を勝利で飾った。
現在は介護施設「リゾートデイ遊とぴあ」に勤務し、週6日は片道1時間以上かけてジムに通う。職場の理解があり、「僕専用の筋トレ器具まで置いてもらっています」という。
5月12日、復帰3戦目を東京・後楽園ホールで迎える。自身20戦目で初めて、格闘技の聖地と呼ばれるリングに上がる。「後楽園で戦いたかった、というのも復帰した理由の一つです」と明かした。
いま、プロボクシングで上をめざそうと思えば、幼少時から競技に親しみ、アマチュアでの実績をもとに首都圏のジムに所属するのが「最短ルート」といえる。浜島が歩いているのはまったく別の道だ。
「だからこそ、あきらめずに続けるしかない。エリートじゃない僕から根性がなくなったら何もないんで」(伊藤雅哉)